- 2026/11/02 07:10 掲載
「逆張り」のサンリオ…450超キャラを「一発屋」で終わらせないIPの神髄とは
AIキャラが会話する時代、サンリオが引いた“境界線”
サンリオは10月29日、自社ゲームブランド「Sanrio Games(サンリオゲームズ)」の第1弾「サンリオ パーティランド」を発売した。同ブランドは4月に立ち上げたもので、2029年3月までに10タイトル程度の投入を計画している。これまで他社にキャラクターの使用を許諾する形でもゲーム事業を展開してきたが、新ブランドでは自ら企画・開発を主導する。
サンリオによると、ゲームと会員サービス、店舗、テーマパークなどを連動させる方針だ。単なるゲーム事業の拡大ではなく、既存IP(知的財産)と世界中のファンを直接つなぎ、キャラクターの価値を高める戦略といえる。
注目したいのは、1つのゲームを起点に、既存キャラクターの活用先を広げている点だ。生成AIによってキャラクターの制作が容易になる中、サンリオはIPの価値をどのように高めようとしているのか。
キャラクターそのものの役割もAIによって変わろうとしている。博報堂は10月16日、東京テアトルのキャラクター「A Cinematic Girl」と会話できるAIサービスを発表した。映画の好みを伝えると作品を薦め、東京国際映画祭の上映作品も案内する。イラストレーターがデザインしたキャラクターに、生成AIで会話する機能を加えた例である。
AIにより絵や設定案を素早く作るだけでなく、ユーザーと対話することまで可能になった。では、サンリオはAIをどこまで活用するのか。6月に公表された2026年3月期 通期決算説明資料では、同社はクリエイターの権利を尊重する立場から「創作活動の中核を担う領域においてAIを活用する方針は採っておりません」と説明している。
この「線引き」の意味を、IPビジネスの構造から読み解く。
レゴと提携…IPを「何度も稼げる資産」にするための“仕込み”
10月6日、サンリオはレゴグループと複数年にわたる提携を発表した。ハローキティなどの世界観をレゴブロックで再現した商品を2027年以降に発売する予定だ。両社はそれぞれの強みを持ち寄り、既存のファンに新しい遊び方を提供するという。サンリオは自社で商品を作って販売するだけでなく、他社にキャラクターの利用を認め、対価を受け取るライセンス事業を展開している。契約に沿って商品化を任せられれば、同じIPを玩具やアパレル、食品など複数の市場に展開できる。商品が売れる仕組みをつくるには、企画、契約、デザイン監修、販売先との関係構築が欠かせない。
AIを使えば、キャラクターのデザイン案を短時間で作れる可能性はある。しかし、それを商品化するには別の仕事がある。サンリオのライセンスデザイン部では、キャラクターの使い方やデザイン上のルールを確認し、必要に応じて修正を重ねているという。
IPビジネスで問われるのは制作スピードだけでなく、多様な商品でキャラクターの価値を維持する力だ。同社がAI活用において「クリエイターの権利尊重」と「ブランド価値」を重視する方針も、こうした事業構造と整合する。 【次ページ】7064万票を集める「推し活文化圏」…AIではファンは作れない?
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