エンタメ社会学者、Re entertainment代表取締役 中山 淳雄
東京大学大学院修了(社会学専攻)。カナダのMcGill大学MBA修了。リクルートスタッフィング、DeNA、デロイトトーマツコンサルティングを経て、バンダイナムコスタジオでカナダ、マレーシアにてゲーム開発会社・アート会社を新規設立。2016年からブシロードインターナショナル社長としてシンガポールに駐在し、日本コンテンツ(カードゲーム、アニメ、ゲーム、プロレス、音楽、イベント)の海外展開を担当する。早稲田大学ビジネススクール非常勤講師、シンガポール南洋工科大学非常勤講師も歴任。2021年7月にエンタメの経済圏創出と再現性を追求する株式会社Re entertainmentを設立し、大学での研究と経営コンサルティングを行っている。『推しエコノミー「仮想一等地」が変えるエンタメの未来』(日経BP)、『オタク経済圏創世記』(日経BP)、『ソーシャルゲームだけがなぜ儲かるのか』(PHPビジネス新書)など著書多数。
NTTドコモの携帯電話向けネットサービス「iモード」の誕生により、ガラケー向けゲーム市場が急成長を遂げていた2000年代。MIXIやDeNAといった強豪ひしめく業界で、プラットフォーム運営をはじめ、『釣り★スタ』や『踊り子クリノッペ』などのヒット作を生み出し、業界の先頭を走っていたのがグリーだ。当時の急成長の裏には、あまり知られていない多くの試行錯誤があったようだ。本記事では、ソーシャルゲーム市場の歴史を振り返りながら、どのようにしてグリーからヒット作が生み出されているのか、その社内の構造に迫りたい。話を聞いたのは、グリーのヒットメーカー である、グリーホールディングス 取締役 上級執行役員の荒木 英士氏だ。
巨大IP「ウルトラマン」を擁する円谷プロダクションは、過去に経営危機に陥り広告制作会社TYOの傘下となる苦い経験をしている。円谷一族から身売りされる直前の2006年、円谷プロの売上は56億円、純利0.4億円。ここから15年近くずっと低迷を続けてきた。それが2021年に15年ぶりに売上50億に到達し(営業利益12億円は当時を遥かに超える水準)、さらには2022年突然ダブルスコアで104億円売上にまで伸ばし、半世紀以上続く円谷プロ史上最高売上に到達した。たった数年で一体何が変わったのだろうか。今回は円谷プロの経営の変遷を辿りながら、円谷プロの売上を牽引してきた「ウルトラマン」という巨大IPの実力を解説する。