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  • 2009/02/27 掲載

改正特電法とは?特電法、特商法改正のポイント【2分間Q&A(51)】

「特定電子メールの送信の適正化等に関する法律」「特定商取引に関する法律」

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迷惑メール(スパム)が、社会的にも経済的にも非常に大きな問題となっている。それに伴い、2008年12月1日から「特定電子メールの送信の適正化等に関する法律」と「特定商取引に関する法律」の改正法が施行された。今やビジネスで必須とも言えるメール・マーケティングにおいて、従来とは異なる対応が必須となる。どのように法を解釈し、どのように運用すればいいのか、本稿では改正の背景とそのポイントについて詳細な解説を行う。
迷惑メールに関する法律の制定とその背景

 新規顧客の開拓や見込み客への製品やサービスのプロモーション、さらなるニーズ発掘へのアプローチなど、今やビジネスにおいてメール・マーケティングは、EC(電子商取引)ビジネスでなくても大きな鍵を握っている。しかし、顧客へメールを送信する上で、決して無視できないのが「迷惑メール」に関する法的な規制だ。

 言うまでもなく、迷惑メール(スパム)が社会的に深刻な問題となって久しい。現在は世界のインターネットのメールトラフィックのうち、およそ70~80%以上が迷惑メールであると言われている。スパム対策を施していないメールシステムは成り立たない状況となっていることは、周知の事実である。

 迷惑メールが大きな社会問題として浮上したのは、インターネットの普及が進んだ2000年頃からだ。通常のPCメールのほか、携帯電話の迷惑メールが急増し、総務省は2002年に「特定電子メールの送信の適正化等に関する法律」(以下、特電法)を策定。また、経済産業省では2000年に「特定商取引に関する法律」(以下、特商法)を制定し、2002年に迷惑メールを含めた改正を行っている。これら2つを総称して「迷惑メール防止二法」と呼ばれている(※改正割賦販売法を加えて三法とする場合もある)。

 この詳細については表1の通りであるが、特電法は「メールを送信した者」を主な対象とし、迷惑メール規制を主なターゲットにしているのに対して、特商法はEC上の取引の公正さと消費者保護を主眼とし、広告主(メール送信の依頼者)を主に対象とする。なお、特商法のベースとなった法律は、76年に制定された「訪問販売に関する法律(訪問販売法)」であり、通信販売のほか、訪問販売や電話勧誘、いわゆるマルチ商法などの規制も対象とする。

表1 特電法と特商法の違いと主な内容


 たとえば、メールアドレスを収集し、架空メールアドレスを使って無差別に勧誘などのメールを大量送信した場合、その行為は特電法によって罰せられる。さらに、その内容が特商法に定められた指定商品(政令指定商品)であり、違反が明らかな場合は、特商法の適用をも受ける。このように、特電法の方が規制対象の範囲は広い。

 これらの法律施行後も依然として迷惑メールの数は増加し、その送信手法も巧妙化・高度化していることから、2005年には特電法が改正され、対象範囲を個人のメールアドレスだけでなく、企業で使われる事業用アドレスに拡大すると共に、送信者情報を偽った迷惑メールの発信者に対して、直接刑事罰を科せるようになった。

 この法改正と共に、ISPも「OP25B(Outbound Port 25 Blocking)」と呼ばれる本格的な対策を講じるようになり、業界全体での迷惑メールへの取り組みが本格化した。ちなみに、OP25Bとは、他のメールサーバ(SMTPサーバ)からISPのSMTPサーバを経由(リレー)してメールを送信することを規制するものだ。

 現在は、ほとんどの主要なISPがOP25Bを採用しており、正当なユーザーがISP以外のメールサーバからISPのメールサーバ経由で送信を行う際は、「サブミッションポート」と呼ばれる特別なポートを使って送信する必要がある。これらはメールソフトの設定変更で対応できる。

法改正を巡るこれまでの動向について

 このような迷惑メールに関する法律の制定・施行は、メール・マーケティングを行う事業者にとって「自由に商業メールが送信できない」とネガティブに捉えられがちだ。しかし、法制度の整備は、正当な商業メールというものを明確に定義し、グレーゾーンを極力取り除いていく、という意義がある。

 つまり、企業が法律を理解し、遵守した形でメール送信を行えば、阿漕(あこぎ)なビジネスを展開し、忌み嫌われるような悪質業者とは区別され、自社のビジネスが正当であると社会的に認められるわけである。

 だが、従来の特電法、特商法に対しては、これまでにさまざまな問題が指摘されてきた。最も大きなものは、従来の法律が「オプトアウト」を採用していた事だ。オプトアウトとは、企業から発信された商業メールを受け取ったユーザーが「このメールを承認しない」ことを企業に伝えた場合、ユーザーはその商業メールを発信することができない、という制度である。

たとえば、通販のオンラインサイトで物品を購入した場合、その通販サイトではメールマガジンなどを相手の意志に関わらず送信することができる。ただし、そのメールを受け取ったユーザーからメールやWebサイト上で「配信停止」の意思表示があった場合は、配信を停止しなければならない。

図1 オプトアウトの基本的な考え方

これまで、法律の求める要件さえ満たしていれば、許諾を得ずにメールを送信しても違法ではなかった


 しかし、現実には悪質な業者はオプトアウトの受付窓口を設定していないことがほとんどであり、中には、オプトアウト窓口のように装ってメールアドレスを集め、そのアドレスの死活(アクティブなアドレスか、無効なアドレスか)を判断するために利用しているケースも多々あった。これでは、迷惑メールを減らすどころか増やすことにもつながりかねない状況であった。

 また、法律制定から数年が経過し、最近では題名に「未承諾広告※」と書くことや、差出人の連絡先やメール受信拒否(オプトアウト)の方法をメール本文に記載する、などの義務がほとんど守られておらず、効果はほとんどなかった。

 財団法人インターネット協会によれば、法施行から2007年8月までに警察による摘発につながった例は3件、総務大臣による行政指導は2008年10月までにわずか6回と、極めて少ない。このため、十分な規制が可能な法律が求められるようになり、2008年12月より施行された改正特電法、および、改正特商法という形で施行されたのである。

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