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AI創薬の米エンベダが9月23日、3億1,100万ドル(約491億円)のシリーズE資金調達を発表した。植物や微生物の天然分子を探索する基盤モデル「PRISM」を武器に17件の開発候補を生み、うち3件が臨床段階にある。アトピー性皮膚炎向けの経口薬は初期治験で湿疹の重症度が平均85%改善したという。
AI創薬スタートアップの米エンベダ(Enveda)が、3億1,100万ドル(約491億円)のシリーズE資金調達を完了したと、
9月23日に発表した。米投資会社のCatalio Capital Managementが主導し、ICONIQやLightspeed、T. Rowe Price Investment Managementなどが新規に加わった。2019年の創業からの累計調達額は8億4,500万ドル(約1,335億円)を超える。米TechCrunchによると、今回の評価額は20億ドルで、
1年前の約2倍に達したという。
同社が開発する基盤モデル「PRISM」は、分子をゼロから設計するのではなく、植物や微生物、ヒトの体内にすでに存在する分子を見つけ出す点に特徴がある。質量分析のデータから構造を予測し、実験の進め方を示したうえで、治療薬としての有望度で順位付けする。創業者兼CEOのビスワ・コルル氏は「最も信頼できる新薬の源は、生物が何十億年もかけて磨いてきた化学であり、AIはついにそれを読めるようにした」と述べている。
自然界の物質から薬をつくる発想そのものは目新しくない。アスピリンやペニシリンのように、既存の医薬品の多くが天然物に由来する。ただし、どの生物がどの分子を持つのかを網羅的に調べる作業は膨大で、従来は手作業に近い探索に頼らざるを得なかった。エンベダはその工程を、自動化した実験室とAIで置き換えた格好だ。
成果はパイプラインに表れている。2019年以降に特定した開発候補は17件で、うち3件が臨床試験の段階にある。中心となるのが、アトピー性皮膚炎に対する1日1回の経口薬「ENV-294」だ。フェーズ1bでは42日後に湿疹の重症度が平均85%改善し、重篤な副作用は確認されなかったという。現在はフェーズ2が進行中で、ぜんそくへの適用拡大も掲げる。
代謝領域の「ENV-308」は、激しい運動時に体内で放出される天然分子に着想を得た経口薬。健康な被験者88人を対象としたフェーズ1では良好な忍容性を示し、消化器系の副作用が少なかった。炎症性腸疾患を狙う「ENV-6946」もフェーズ1にある。
調達資金は、ENV-294とENV-308の後期試験や適応拡大、ENV-6946の中期試験、そしてPRISMと自動実験室の拡張に充てる。AI創薬をめぐっては、
米アンソロピックが生物学研究所を設立するなど、大手AI企業の参入も相次ぐ。臨床で結果を出せるかが、次の競争軸になりそうだ。
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