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  • 2009/03/16 掲載

【セミナーレポート】ITを武器に激変するビジネスシーンをどう戦うべきか

2月24日開催「IBM Solution Conference 2009」

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2009年2月24日、グランドプリンスホテル赤坂において、「IBM Solution Conference 2009」が開催された。IBMの最新ソリューションを紹介するセッションと、それらのソリューションを活用するユーザーのセッションとが4会場で展開され、全体として内容の濃いセミナーとなっていた。技術的な側面よりもビジネスを活性化するためにどのように活用していくかという点について展開されたセッションも多く、ビジネスの進め方についてもヒントを得られる貴重な場となった。

今日のことと、未来のこと
両方のヒントを得てほしい

【ITアーキテクト】

日本アイ・ビー・エム
代表取締役社長
橋本孝之氏

 「IBM Solution Conference 2009」は、日本アイ・ビー・エム 代表取締役社長 橋本孝之氏のあいさつから始まった。橋本社長はまず、セミナーに約1500名もの参加申し込みをいただいたことに感謝の意を表した。次いで橋本社長は1週間前に発表されたばかりの2008年の日本経済の成長率について触れた。

 「2008年の実質的なGDPの成長率は、35年ぶりの低水準となりました。2009年もまったく先行きは見えませんが、その中でも取り組んでいかなければならないことが2つあります」。

 やらなければならない2つとは、コスト削減と新しい価値観へのシフトだ。前者は今を生き抜くため、後者は価値判断の基準が今とは違う世界になってしまうかもしれない、復興後の世界に対応するための準備だ。

 「今日のことと、未来のこと。この2つについて、このセミナーで何かヒントを得ていただけたら幸いです」。

 また橋本氏は最後に、事業開発担当のフーン・メン・オン氏を紹介した。橋本社長は2009年1月に現職に就くまで事業開発担当に就いており、フーン・メン・オン氏は橋本氏の後任に当たる。


成熟化が進む21世紀を生き抜く
ビジネスの理論と実践がわかるセッション

【ITアーキテクト】

ジャーナリスト
事業創造大学院大学
IT経営講座主任教授
上村孝樹氏

 基調セッションでまず壇上に立ったのは、ジャーナリストであり事業創造大学院大学・IT経営講座主任教授でもある、上村孝樹氏。「ビジネス環境の激変を乗り越え、競争優位に立つ経営とは何か?」と題して、21世紀型市場に対応していくために必要な価値観の変革について、20分ほどの講演が行われた。

 上村氏によれば、現在日本の市場を脅かしているのは、実は金融危機ではない。市場構造が変革し、大量生産大量消費の時代が終わり、非成長時代へと進んでいるのだという。大量生産大量消費の時代には、コストメリットを最大化できた企業が生き残り成長してきたが、これからは付加価値を提供できる企業が生き残っていくという。また上村氏は、企業規模の拡大よりも企業の継続性が重要になるだろうとも言う。老舗の和菓子店を例に挙げ、拡大だけが企業の成長ではなく、独自性を守り、継続していくことで得られる成長もあると述べた。

 「必要なのはターゲットの明確化と、付加価値の提供、そしていい客と長くつきあうことです。これらを常にコントロールするため、ビジネスモデルと並んでマネジメントモデルが重要になります」。

 上村氏はそう語り、こだわりを持ち独自性や強みを伸ばしていくことで経営の自立化を進めていかなければならないと続けた。さらに講演の締めくくりとして、グローバルなビジネス環境で日本企業が強みを増すための「亀の歩み戦略」を提案。中長期計画を重視することなど、6つのポイントを示して解説した。その中には従業員満足度を重視して人材力を高めていくことや、コンプライアンスを確保して社会的存在としての評価を高めることなども盛り込まれている。上村氏は次のように語り、講演を終えた。

 「アメリカ企業のように短期判断、短期勝負は日本の企業には向いていません。企業の質を向上し、中長期の視点でビジネスに取り組んでいくことで、日本企業の良さを生かして生き残っていけるでしょう」。

【ITアーキテクト】

上村孝樹氏、藤田昌弘氏、田中英成氏、
神野吾郎氏による対談形式のセッション

 基調セッション後半は、実際にIBMのソリューションを導入しているお客様を壇上に招いての対談形式で進んだ。モデレータ役の上村氏のほかに登場したのは、フジタ製薬 代表取締役社長 藤田昌弘氏、メニコン 代表取締役社長 田中英成氏、サーラコーポレーション 代表取締役社長 神野吾郎氏の3名。

 フジタ製薬で最も重視されているのは、人材の力だ。人が気分よく働ける職場づくりに数十年も取り組んでいるという。ITも、業務を効率化して社員の負担を減らす視点で取り組んでいる。

 「中小企業は最新情報の入手自体が難しい。CIOに任せきりにせず、社長自身も情報収集をし、精査すべきです」。 一方、メニコンはコンタクトレンズというフィールドで独自の技術で戦っている。研究開発に重点投資を行い、創造と安全、品質へのこだわりを貫いている。10~15年もかかる新製品開発の是非を含め、最終的な判断基準は「社会にどれだけ貢献できるか」だという。

 「成長だけを追って企業経営が薄いものにならないようにしなければなりません。そのためにも、ITを効率化だけに使わないよう気をつけています」。

 先の2社とは違う軸でビジネスを展開するのが、サーラコーポレーション。豊橋を足場に、生活をサポートする多様なサービスを行っている。一時進めていた他地域への展開をやめ、近年は東海エリアに特化してビジネスを展開している。

 「経営資源を極めるためにエリア特化へと進んできました。コストダウンのため、IT導入時も全社を見て検討しなければなりません」。

 3社の代表者の話から浮かび上がるのは、トップがきちんとやりたいことをわかっているということ。そして、ITを経営と一緒に考えていること。具体策はIT部門の専門家に任せるとしても、経営に関わる根幹の方策は、やはり経営者自身が判断すべきだと上村氏は締めくくった。


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