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  • 2010/03/01 掲載

マイクロソフト、クラウドサービス「Windows Azure」を日本市場で本格的に展開

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マイクロソフトは2月22日、クラウドコンピューティング プラットフォーム「Windows Azure」を日本市場で本格的に事業展開すると発表した。日本市場向けの製品サイトの開設、技術者情報の提供、開発者向けの支援策の提供などを開始する。また、50社のパートナー企業がWindows Azure向けにアプリケーションを開発すると表明しており、今後、各社が提供するサービスの基盤としてWindows Azureが活用されるという。同社は、クラウドでPC、モバイル、テレビに対応する「3スクリーン+クラウド」戦略を掲げた。

丸山隆平

丸山隆平

経済ジャーナリスト。1972年日刊工業新聞社入社、以降88年まで第一線の経済・産業記者として活躍。経団連、NTT、通産省、郵政省、労働省、東京商工会議所、各記者クラブ所属、米国特派員を経験。情報通信、コンピューター・ソフトウエア産業草創期から取材。コンピューター・OA、情報通信、経営問題関連の執筆・著作多数。1989年から投資家向け広報(IR)コンサルタントとして内外の企業IR・PRをサポートしている。

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マイクロソフト 執行役デベロッパー&プラットフォーム統括本部長 大場章司氏

 大場章司執行役デベロッパー&プラットフォーム統括本部長は「Windows Azureは一昨年10月に当社が本格的にクラウドに参入するための戦略的なサービスとして発表して以来、多くの顧客やパートナーのパイロットプロジェクトからのフィードバックを受けてきた。今年1月から全世界で本格的にサービスを開始し、2月からは課金も開始するなど、技術的には日本でも使用可能な状況になった」と、Windows Azureにかける意気込みを語った。

 会見に同席した米マイクロソフトのプラットフォームストラテジ 担当 シニアディレクターのティム・オブライアン氏は「当社はクラウドだけでなく、クラウドをどのようにユーザーが活用するか大きなビジョンで考えており、PC、モバイル、テレビに対応する“3スクリーン+クラウド”戦略を掲げ、ユーザーが実際に触れるエンドポイントまで視野に入れた包括的な技術を提供していく」とした。


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マイクロソフトのクラウド展開のビジョン

 Windows Azureのメリットは、「オンプレミスやデータセンターで使用するサーバーソフトとして提供されているWindows ServerやSQL Serverなどと同じレイヤで同等の機能を持っており、これらを単独のソフトウエアとして活用できるほか、データセンターに実装するための連携や機能拡張が容易な構造になっている」こと。クラウド上で使えるコラボレーション サービスとして、SharePoint Online、 Exchange Online などのSaaS型サービスも展開されており、「日本では既に数100社の企業が使っている」という。「企業ユーザーにとってオンプレミス、クラウドのどちらか一方でなく、双方のよさを取り入れた柔軟なシステムを、コストを抑えて構築できる」(大場氏)

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Windows Azure Platformの全体像

 また、Windows Azure用のデータセンターを全世界に6カ所開設。「今後、キャッシュ的なデータセンターをコンテンツデリバリー・センターとして設置して需要に応えていく」とした。なお、現在日本にはデータセンターは存在していない。

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Windows Azureのサービスで利用できるデータセンター

 開発環境は、「Visual Studio と.NETによりアプリケーションを作り、実装することが可能で、過去の開発資産を生かしてクラウドに拡張して行ける」と、過去の資産との連携を強調した。

 具体的な活用例として、ストレージや非常用のバックアップとしての利用のほか、季節性が強い案件、一時的なキャンペーンサイトの構築、大規模なコンシューマーサービス、SOAでの基幹システムの構築などをあげた。

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Windows Azureの推進

 22日23日の「Microsoft Tech・Days2010」では、大場氏の講演に続き、米マイクロソフト Windows Azure担当スティーブ・マークス氏がデモンストレーションを行った後、4社の先行ユーザーによる事例発表が行われた。

 TBSが放送と通信の融合を目的に設立したグーモ株式会社はオリジナルの動画配信サービスに「Windows Azure」を活用、配信プログラムは45に達しており、動画からスポンサーのHPに視聴者を導く仕組みをとっている。CDN含めて、システムを「Windows Azure」に統合することにより、より低価格で、拡張性のあるシステムが構築できるメリットを評価しており、近く正式な運用に入る予定。

 ソフトバンク クリエイティブは、「Windows Azure」ベースのWebメディア用コンテンツマネジメントシステム「PresCube」を採用した。同社は「コンテンツの内容によってアクセス数の違いが多く、ピーク時の負荷を軽減する必要がある一方、社外に会員データを出すことはできない。これらの問題を解決するためにWindows AzureベースのPresCubeを採用した」と述べた。

 宝印刷は上場企業の企業情報開示システムで「Windows Azure」を採用。近年、金融庁、証券取引所には電子データでの情報提供が求められており、「一つのアーキテクチャーで統合的に処理でき、かつデータは当社の機密性の高いデータセンターに保存できる」とメリットを語った。

 富士通システムソリューションズシステムはERPパッケージのクラウド対応に際し従来の.NETとの互換性を重視してWindows Azureを採用、オンプレミスの基幹システムとの連携が容易などのメリットを強調した。

 このほか、複合機とクラウドサービスとの連携を検証中のキヤノンの事例なども紹介された。

 マイクロソフトでは「今年はクラウド元年」として力を入れている。クラウドサービスでは後発で、さらに既存のビジネスを抱える同社が、今後どのようにクラウドを展開していくのか、その動向が注目されている。

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