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- 2010/03/15 掲載
競合他社の新サービスで苦境に陥った、とある会社の新規投資【事例から学ぶ、OSSでコスト削減を成功させるコツ (2)】
競合他社の新サービスで苦境に陥ったリサーチ会社の新規投資
■E社の新システム導入の背景今回ご紹介するE社は、中堅の総合リサーチ会社だ。同社では、顧客から特定分野の調査・アンケートの実施の依頼を受け、その調査・アンケート結果をレポートにまとめ、顧客に納品する事業を展開していた。また、顧客からはレポートだけでなく、そのアンケート結果のデータを用いて各種分析をしたいとのニーズがあり、そのニーズに応えるために有償で希望する顧客にデータ分析ツールを提供していた。
しかし、E社と競合する複数の企業において、有償調査の付帯サービスで同様のツールの無償提供を実施していた。そのため、自社のデータ分析ツールの有償サービスや調査の受注が伸び悩み、新規顧客の開拓で苦戦を強いられていた。
新規顧客を獲得するためには、無償のデータ分析ツールを提供しなければならない状況下にあったが、今まで有償で提供していた分析ツールを無償化するのは難しい事情があった。というのも、そのツールの基盤部分に用いているソフトウェアが、ある企業の商用製品であり、かつ、ユーザーライセンス形式だったため、顧客にツールを提供するたびに、そのライセンス料をE社がすべて負担する必要があったためである。
そこで、E社は付き合いのあったベンダー数社に声をかけ、無償で提供するデータ分析ツールの見積りを依頼した。
■新システムの機能要件
本ツールは、収集したアンケートデータ(レコードファイル)をアンケート定義情報(下記参照)にマッピングし、ユーザー企業が各種分析(例:年齢層ごとの回答結果の分布状況を確認するといったこと)を行うものであった。
- <アンケートの基本情報>
- アンケート名
- 配布方法(メール、WEB、紙など)
- アンケート実施期間
- アンケート対象者の年齢層
- 性別
- <設問の内容や回答方法>
- テキスト入力
- ラジオボタン入力(複数選択肢から1つを選択)
- チェックボックス入力(複数選択肢から該当するものを選択/複数選択可)
- 日付・時間入力
なお、アンケート定義情報は既存システム(データマップ作成ツール)で作成する。
そして以下が、デスクトップ集計ツールおよびアンケート定義情報を作成する既存システム(データマップ作成ツール)の機能概要である。
既存or新規 | 主な利用者 | ツール名称 | 機能詳細 | 機能詳細の内容 |
既存システム | E社およびE社の所属の契約調査員 | データマップ作成ツール | 新規作成・編集機能 | データマップ(アンケート定義ファイル)の新規作成、編集、データチェック |
出力機能 | データマップの保存(XML形式)、HTML形式での出力 | |||
新規構築システム | E社顧客企業 | デスクトップ集計ツール | データ読込機能 | データマップ、レコードファイル(回答結果)の読込 |
データ集計機能 | データマップ、レコードファイルによるデータ集計 集計表の表示 | |||
データ出力機能 | 集計テーブルの出力(Excelによる出力) | |||
プロジェクト保存機能 | 作成したプロジェクトの保存 |
■E社の設定した前提条件
E社はデスクトップ集計ツールの構築に関して下記前提条件をベンダーに提示した。
- <前提条件>
- 予算金額が限られていること
- 導入後のライセンス費用が発生しないこと
- クライアントサイドのみで稼働するソフトであること(ただし、アップデートの手間がかかるのは不可)
- 操作性がよいこと
>>次ページ ベンダーコントロールのコツ
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