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  • 2010/08/25

【連載】国際的差異を踏まえた新たなグローバル戦略論「AAA戦略」(ゲマワット) (2/3)

林 倬史研究室(国士舘大学政経学部)+井口 知栄研究室(慶応大学総合政策学部)

AAA戦略―差異をどのように戦略的に活用するか

 他方、事業が国際的に展開されるにつれて、市場面と生産面から、それぞれ「海外市場の有する特異性への適応化」と「生産の集約化による規模の経済性」が重要な考慮対象とならざるを得ない。そこでゲマワットはこれらの2つの要因、すなわちAdaptation(適応)とAggregation(集約)、そして国ごとの差異を活用するArbitrage(裁定)を統合化したAAA戦略を提起している。それらを簡略化して表示したのが図2である。AAA戦略のエッセンスは、CAGEフレームワークによって各国ごとの特殊性と共通性を分析し、それによって特殊性への適応化と、共通要素の集約化を図り、同時に各国ごとの差異を戦略的に活用するところにある。
こうしてCAGEフレームワークに基づくAAA戦略こそが、セミ・グローバリゼーション時代の有効な国際経営戦略であると述べている。

画像
図2.AAA(トリプルA)戦略

P.Ghemawat(2007),Chap.4-7, 訳書、4章-6章を参考に作成

ゲマワット論の意義

 従来の国際経営戦略論においても、国際マーケティング戦略に典型的に見られたように、対象製品を「どの程度国際的に標準化するか」、あるいは「どの程度地域の特殊性に適合させるか」という論点を中心に議論されてきた。そこでも、それなりに 2つのA(Adaptation=適応化、Aggregation=集約化)は理論的にも深められてきた。

 しかしながら、事業展開とバリューチェーンが多様な諸国や地域へと広がりを持つに連れて、各国・地域の経営資源をより的確に「適応化」と「集約化」をさせながら活用し、同時にグローバルな規模でネットワーク化していく戦略が不可欠となってきた。その際、どのような市場向けの製品を、誰とどのように共同開発し、どこで生産し、どのように販売し(価格・チャネル、販売促進、等)、さらに管理コストを抑えるために会計・人事等の部門をどの程度、どこの国へアウトソーシングするか等の戦略的諸課題の解決が浮上してくる。これらの諸課題を、単に「適応化」と「集約化」の論点だけからアプローチするだけでは競争戦略上、不十分であり、さらに各国・地域ごとの差異を分析し、その差異をグローバルな視点から統合的に活用していく観点が重要性を増してきた。

 そこで、ゲマワットが指摘するように、CAGEフレームワークのツールを用いて国ごとの差異を認識し、それぞれの経営資源をクロスボーダーに移転、再編成しながら活用することによって組織能力を再構築していくことは、どの国際的企業にとっても喫緊の課題となっている。彼のセミ・グローバリゼーションの視点からのCAGEフレームワークに基づくAAA戦略はまさしくこうした諸課題に、より的確に答えうる戦略論としての適格性を有している。BRICsをはじめとする新興経済圏が世界経済に重要な意味を持ってくるにつれて、このゲマワット論も国際経営戦略上、いっそう重要性を増して来ている。

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