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  • 2010/12/27

変わる消費行動、企業ロイヤリティ向上に求められるマルチチャネル活用

スマートフォン、ソーシャルメディア、動画を使った先進事例

近年、Web、SNS、スマートフォンなどの登場により、顧客との接点(チャネル)は複雑さを増している。その一方でこうした新しいツールを積極的に用いて、成功を収める企業も増えてきた。野村総合研究所 情報技術本部 技術調査部 主任研究員 一瀬寛英氏は先進的な米国での成功事例に注目するとともに、今後は「マルチチャネル活用への転換が求められる」と指摘する。企業が、現代の消費者のロイヤリティ(忠誠心)を勝ち取るにはどのようにすればいいのだろうか。

顧客サービスの印象が企業の信頼性を左右する

 NRI主催の「ITロードマップセミナー AUTUMN 2010 」の講演で、野村総合研究所(以下、NRI) 情報技術本部 技術調査部 主任研究員 一瀬寛英氏が登壇。今後のチャネルマーケティング活動について、各種の事例と今後の動向について解説した。

 一瀬氏はまず、顧客サービスにおける販売チャネルの多様化は「この10年で急速に進んだ」と指摘する。従来は店頭販売や通信販売、PCでのネット販売が中心だったが、2000年代に入ってから、携帯電話が本格普及し、Web2.0(BLOG、SNSなど)、スマートフォン、そして2010年はスレートPC(iPadなど)やネットTVなどが登場してきたからだ。

 これにより「顧客は個々のライフスタイルによって、販売チャネルも使い分けるようになった」(一瀬氏)という。たとえば、自宅ではインターネットで商品情報を下調べして、不明点があればそこに書かれている電話番号に問い合わせる。その一方で、店舗では店員と相談しながら、気に入った商品の評判をスマートフォンで確認するといった行動のことだ。

 こうした顧客の行動を左右するものは何か。一瀬氏は、ジェネシスジャパンの調査を引用して、「顧客サービスの印象」がいかに重要であるかを指摘した。同調査によれば、消費者の企業に対するロイヤリティ(忠誠度)に対して最も影響をあたえるものは、2006年は「顧客サービス」が30.1%、「製品品質」が53.0%だったが、これがそれぞれ41.6%と41.3%に逆転している。

 そのため、企業は「顧客に好印象を与えるサービスを提供するために、多様なチャネルを効果的に使い分けることが課題になっている」(一瀬氏)という。

多様なサービスを効果的に使い分ける消費者

 ではこうした課題に対して、企業はどのようにマーケティング戦略を採ればよいのか。一瀬氏は個別チャネルサービスとマルチチャネルサービスの使い分けが重要だと指摘する。

 個別チャネルとは、Web、コンタクトセンター、店舗、ソーシャルメディア監視など、各販売チャネルにひもづいたもの。この対応策として考えられるのが、スマートフォンやソーシャルメディア、動画などの活用である。一方でマルチチャネルとは、こうした個別チャネルを横断したもの。この対策として考えられるのが、情報の一元化やそれに基づいたレコメンデーション(推薦)システム、あるいはチャネルの統合、ルーティング技術(リソースの最適化)などが考えらえる。

 実際に個別チャネルサービスを活用した事例として、一瀬氏は次の3つを紹介した。

画像
(※出典:statefarm,2010)

スマートフォンを使ったサービスのイメージ。車体のどの部分が損傷したのかを伝えやすい(左から2つめ)。
1.スマートフォンでリアルとWebを結ぶ

 スマートフォンを使った事例として、まず一瀬氏が紹介したのが米国の損保会社StateFarm Insuranceだ。同社では従来、対面や書面、電話、ネットなどを通じてバラバラに提供していた情報を、スマートフォンのアプリとしてパッケージ化。事故の際にどの販売員にコンタクトをとればいいのか、近くにどんな修理工場があるのか、といった情報を提供するとともに、現場の撮影を顧客自身が行って送信できる機能を備えるなど、ユーザーの利用シーンに合わせたニーズを満たす内容をそろえている。

 もう1つは米大手百貨店のシアーズ(Sears)。同社の顧客はスマートフォンのカメラで商品の写真をコンタクトセンターにメールし、希望の色やサイズをリクエストすれば、店舗側からは顧客が希望する電話・メール・チャットのいずれかで返答し、郵送してくれる。従来、Web2Store(Webで注文して店舗で受け取り)だったものが、Store2Web(店舗にない商品をスマートフォンのWebから注文)に対応したわけだ。

photo
Best BuyのTwitterサイト「@Twelpforce
2.ソーシャルメディアの活用で顧客の期待以上のサポートを提供

 また、ソーシャルメディアの活用例も2つ紹介した。1つは米国の航空会社JetBlueの例。同社の顧客が自動発券機で間違ったチケットを購入して、Twitterでそのことをぼやいたところ、職員が10分で駆けつけて処理したという。

 もう1つは米国の家電小売大手BestBuyの例。同社では専用のTwitterサイト「@Twelpforce」を持っており、全米で2100人以上の店員が空き時間に消費者の質問や苦情に答え、さらにTwitterに集まったQ&Aをすべて蓄積し、FAQ化している。

 一瀬氏は「これらは従来では考えられなかった事例であり、顧客の期待以上のサポートサービスを提供できている好例」と語る。

3.動画の活用で対面接客と同じレベルの非対面接客を実現

 最後に動画の活用例として、全米5位のシューズ専門のECサイトであるHeels.comを挙げた。同社は、小売業でビデオチャットによるサポートサービスを最初に導入した企業だ。全商品の商品ビデオのほか、ビデオチャットによる買い物相談などを行っている。また、スマートフォンとWeb会議を組み合わせ、顧客と映像を共有しながら商品やサービスを説明することもできる。今後はAndroid OSを搭載したGoogleTVが登場するため、ネットTVにスマートフォン向けのアプリケーションが提供され、双方向性のあるテレビ通販のような利用方法も検討されるのではないかとした。

 一瀬氏はこうした事例から企業は今後、「汎用的なサービスは低コストのセルフサービスを用いつつ、高度なハイタッチ業務は社員やオペレーターによるヒューマンサービスを活用することが望ましい」と指摘。その結果、「店舗を持たない企業でも対面接客と遜色のない非対面接客を実現できる」として、サポートサービスの質の変化を強調した。

【次ページ】今後求められる「チャネルの統合」と「ルーティング技術の活用」

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