- 2026/02/17 掲載
55兆円市場「生成AIアプリ」トップ20、Gemini猛追…王者ChatGPTが狙う「第3のOS」戦略
連載:米国の動向から読み解くビジネス羅針盤
米NBCニュースの東京総局、読売新聞の英字新聞部、日経国際ニュースセンターなどで金融・経済報道の基礎を学ぶ。現在、米国の経済を広く深く分析した記事を『週刊エコノミスト』などの紙媒体に発表する一方、『Japan In-Depth』や『ZUU Online』など多チャンネルで配信されるウェブメディアにも寄稿する。海外大物の長時間インタビューも手掛けており、金融・マクロ経済・エネルギー・企業分析などの記事執筆と翻訳が得意分野。国際政治をはじめ、子育て・教育・司法・犯罪など社会の分析も幅広く提供する。「時代の流れを一歩先取りする分析」を心掛ける。
55兆円市場のAIアプリ、「人気ランキングトップ20」は?
AIはモバイルアプリ市場で最も有望な分野だ。機械学習(ML)、自然言語処理(NLP)、コンピュータービジョン(CV)を含め、2026年予想の373億ドル(約5.7兆円)規模から2034年には10倍近い3,541億ドル(約54.6兆円)市場に成長すると、米市場調査企業のMarket.usは予測する(図1)。AIアプリの世界ダウンロード数の伸びは、非AIアプリと比較すると一目瞭然だ。
米データ調査のVisualCapitalist.comのレポートによれば、AIアプリは2024年に10位以内にも入れず、15位にとどまっていた。これが2025年には10位に浮上。2026年には1位の生産性アプリ、2位の金融サービス、3位のソーシャルメディア(SNS)に次ぐ4位に上昇すると予想される(図2)。
世界のモバイルアプリ内で2025年に消費された金額を見ても特筆される。米webトラフィック企業Sensor Tower調べによると、全体の消費額は前年比10.6%増の1,670億ドル(約25.7兆円)であった。
だが特に注目すべきは、同社の調査が始まって以来初めて、非ゲームアプリ内の購入額(856億ドル〈約13.2兆円〉)が、ゲームアプリ内(818億ドル〈約12.6兆円〉)を抜いたことだ。その逆転に貢献したのが他ならぬAIアプリで、アプリ内購入は50億ドル(7,708億円)を超えた。
では、どの企業のアプリが最も使われているのか。
2025年10月時点の世界における月間アクティブユーザー数で見ると、米OpenAIのChatGPTが7億7000万人と抜きんでた1位だ(図3)。
しかし、中国勢が2位以下で大健闘しており、次に利用者数が多い米xAIのGrokは5477万人で9位に甘んじている(米検索コンサルティング企業Backlinko調べ)。
OpenAIが画策する「スーパーアプリ」戦略
こうしたモバイルAIアプリ隆盛の気運の中、どのアプリが「勝ち組」となるかが、目下の業界の関心事であろう。なお、生成AIの出発点であったチャットボットは、課金ユーザー数がまだ発展途上にある。ここでは、ダントツでトップを独走するOpenAIを見てみよう。
英金融大手HSBCの試算によれば、最も希望的なシナリオにおいて、2030年にChatGPTの週間アクティブユーザー数は30億人に達すると予想されるのに対し、その内の課金ユーザー数は1割の3億人にとどまる。
OpenAIにおいて、チャットボットのChatGPTだけでは「食っていけない」ことは明白だ。HSBCによれば、2030年までに同社の演算コストは累計7,920億ドル(約123兆円)に達し、少なくとも2,070億ドル(約32兆円)の資金不足が生じるとされるからだ。
OpenAIは、現在建設中のAIデータセンターのクラウド能力のレンタル、米連邦政府の軍事AI開発に食い込むなどの売上拡大策で収支改善を図っている。
それらに加えて、特に有望であると思われるのが、同社がテスト運用を開始したChatGPTアプリ内のターゲット広告表示と、他社アプリのChatGPTへの組み込みである。
ChatGPTアプリの強みは、Facebookのようなユーザーの興味や利用履歴から効果的に絞り込んだ精度の高い広告表示がCookieなしでできることにある。週間アクティブユーザー数がHSBCの予測のように30億人に近付けば、広告主の関心も高まることは間違いない。
現在提供中の月額20ドル(約3,000円)の広告抜きChatGPT Plusプランに加えて、月額8ドル(約1,200円)の広告付きChatGPT Goプランが1月から利用できるようになった。 【次ページ】ChatGPTがiOS・Androidに次ぐ「第3のOS」に?
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