- 会員限定
- 2011/04/11 掲載
大震災に学ぶ:中堅中小企業のBCPはどうあるべきか
見直される中堅中小企業にとってのBCP
3月11日の東日本大震災は、「BCP(事業継続性)」という言葉が、大企業だけのものではなかったこと、平和な日本にも大いに関係するものであったことを知らしめた。事業所が倒壊、もしくは機能しなくなる、広範囲な停電や交通機関の停止、電話・通信が途絶する、といった事態に、企業は規模にかかわらず深刻な影響を受けることになった。その意味では今回の震災は極めて可能性の低い=「想定外」の事態に、中堅中小企業(SME)でさえも何かしらの対応策を検討しておく必要がある、という重いテーマを突きつけることになった。しかし、経営資源の豊富な大企業ならいざ知らず、SMEにおいては、具体的にどのような対策をとればいいのだろうか。この問題について、「革新! 中小企業TV」というネット番組を通して、中小企業の情報化を進める団体やITベンダーなどから識者が集まり、議論する場が設けられた。
参加メンバーは、パネラーに、一般社団法人日本中小企業情報化支援協議会(JASISA) 会長 真柄泰利氏、都道府県CIOフォーラム 元会長 川島宏一氏、サイボウズ 代表取締役 青野慶久氏。モデレータは、JASISAの事務局長 森戸裕一氏が務めた。
社長が海外にいた場合のコミュニケーション
まず議論は出席者が3月11日にどこで被災したかという確認から始まった。モデレータの森戸氏は、業務で上海出張中だったが、ツイッターで地震の第一報を聞いたという。その後、電話などで日本に連絡を試みたが、日本向けの国際電話は不通だったと述べた。真柄氏は、汐留の自社オフィスで被災し、4時前後にはオフィスをクローズし、従業員などを帰宅させる措置をとった。自身も6時間かけて徒歩で帰宅したそうだ。その際、携帯電話がつながるところで、Facebookのチェックポイント機能を利用したところ各所から声援をもらったともいう。 川島氏も海外(ソウル)で会議中に津波の知らせを受けたが、電話はつながらず、スカイプで連絡をとりあったという。青野氏は、東北地方出身の社員のリストをすぐに作らせ、また交通機関への影響がでているとのことだったので、会社を開放し社員が泊まれるような手配も行ったそうだ。中堅中小企業の社長には、海外出張中ということも少なくなかったはずだが、有事の際の対応方法についても電話以外のコミュニケーション手段を確立できていた各メンバーは、比較的早く国内の自社の現状を確認できていたようだった。
【次ページ】中堅中小企業ならではのBCP対策
関連コンテンツ
関連コンテンツ
PR
PR
PR