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  • 2008/12/04 掲載

BCMとは(1)BCMを中心とする戦略マネジメントの時代の到来

ERMを中心とする内部統制とBCMとの関係整理

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事業継続マネジメント(BCM)は、ここ数年、各分野において注目され、用語としても定着してきた。また、組織における戦略マネジメントシステムおよびIT Continuity(IT継続)とBCMとの連係も今後ますます重要なものとなってくると見られる。しかしながら、BCMという用語のみが一人歩きし、事業継続マネジメントシステム(BCMS)のフレームワークを理解することなく、何となく従来の防災やリスクマネジメントの延長としてBCMを展開している企業も少なくないのではないだろうか。本連載では、BCI(Business Continuity Institute)日本支部 事務局長の前田 泉氏が、BCMとは何なのかを改めて問うとともに、BCMで求められる背景や戦略マネジメントのかかわりなどについて解説する。

前田 泉

前田 泉

BCI日本支部 事務局長。千代田化工建設の法務部において国際契約、各種プロジェクト契約のリスク審査などに従事。その後、Johnson&Johnson法務部、コンピュータ・アソシエイツ 人事法務統括部長、ソフトバンク・テクノロジー 法務部長、総務人事部長などを経て現職。NPO日本リスクマネジャー&コンサルタント協会 評議員/教育分科会委員/認定講師、JIPDEC 情報セキュリティ専門部会委員等。


 第1回目は、内部統制でおなじみのCOSO(米国トレッドウェイ委員会支援組織委員会)のEnterprise Risk Management-Integrated Framework(COSO ERM)が成立するまでの時代背景と、内部統制の意義について再確認するとともに、BCMが求められるようになった背景と、戦略マネジメントとのかかわりについて整理する。

COSO

 米国では1992年トレッドウェイ委員会支援組織委員会(Committee of Sponsoring Organizations of Treadway Commission)は、当事発生したロッキード事件や頻発する不正な財務報告への対策として、業務の有効性・効率性 、財務報告の信頼性、関連法規の遵守を目的として、これを達成する合理的保証のフレームワークを策定した。

COSOフレームワーク(1992年)
目的業務の有効性・効率性
財務報告の信頼性
関連法規の遵守
合理的な保証を提供することを意図した、取締役会、経営者およびそのほかの職員によって遂行される1つのプロセス


 具体的には、上記目的に則して「業務」「財務報告」「コンプライアンス」における相互関連した以下の5つの要素を内部統制の対象としている。※1

□統制環境(倫理感、哲学や行動様式など)
□リスクアセスメント(リスクに対応するため発生の可能性や影響を評価分析など)
□情報とコミュニケーション(情報の特定、様式その他情報の効果的伝達など)
□統制活動(リスクを確実かつ効果的に対処するための方針や手続など)
□監視活動(内部または外部による監視など)


 また、同じ時期、英国でも不正な会計報告やアカウンタビリティの欠如からコーポレートガバナンス強化が求められ、1992年キャドベリー卿を委員長として学界・監査法人・法曹界・証券取引所・イングランド銀行の12 人の委員から成る「Committee on the Financial Aspect of Corporate Governance」が設置され、公開性、誠実性及び説明責任の原則に基づく9章からなる報告書を作成した第9章の「The Code of Best Practice(最善の行動規範)」では、(1)取締役会、(2)非業務執行取締役、(3)業務執行取締役、(4)報告と統制、について行動規範を示している。※2

 米国においては金融市場自由化がなされ、金融工学とこれを支えるコンピュータおよび通信技術が発展してきた。しかし、1987年10月19日月曜日には、米国ドル安とこれに対処するための高金利政策への市場不安からブラックマンデーを経験している。また、英国は金融市場における競争力低下から深刻な危機を経験し、ビッグバンと呼ばれる大幅な金融自由化を実施した結果、欧州における金融市場の中心として現在も君臨している。こういった背景もあって、米国および英国を中心として、企業会計基準の国際化、金融機関をはじめとするリスクマネジメントの強化がはかられてきた。米国および英国は危機を契機にリスクマネジメントと自由化を推進してきたが、日本においては、同時期、金融緩和に伴う高い水準の株価と地価高騰が発生、バブル時代を経験している。サブプライム問題をはじめ世界的な経済不安を迎えた今、失われた10年がなぜ起きたのかをあらためて考えるよい機会にある。

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