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  • 2010/02/26

【インタビュー】自社を継続させ、発展させる力にもなるBCP対策--あずさ監査法人 津田圭司氏

中堅中小企業の視点からBCPの意義

金融機関や官公庁から事業継続性に関するガイドラインが発表され、多くの企業でBCPの策定やDR対策が活発化している。しかし厳しい経済状況の中、中堅中小企業の中には有事の対策より目の前のビジネスを優先してしまう企業も少なくない。中堅中小企業がBCPへ取り組む意義はどこにあるのか、ビジネス上のメリットは生じるのか。企業のBCP策定に数多く携わってきたあずさ監査法人 ビジネス・アドバイザリー事業部 シニアマネジャー システム監査技術者/公認情報システム監査人の津田圭司氏を訪ね、中堅中小企業の視点からBCPの意義を改めて噛み砕いてもらった。

BCPへの取組みは、優良サプライチェーン参入へのチャンスにもつながる

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あずさ監査法人 
ビジネス・アドバイザリー事業部 
シニアマネジャー 
システム監査技術者/公認情報システム監査人 
津田圭司氏
 BCP策定に取り組む企業が増えている。その背景には、企業活動の構造変化があると、津田氏は言う。かつては川上から川下へとつながる一群の企業グループでビジネスを展開していた。グループ企業同士は綿密に連携し、グループ全体の動きも把握しやすかった。しかし今は、各分野に特化した個別企業がサプライチェーンを組み、製品やサービスを構築している。旧来のグループ企業の集まりに比べて相互に透明性が高くなく、脆弱性を感じているのではないかと津田氏は指摘する。

「サプライチェーンに組み込んだ取引先企業に万一のことがあれば、自社のビジネスが脅かされる恐れがあります。たとえば新潟の震災では、ある部品製造工場が被災したために自動車メーカー12社が生産を休止することになりました。こうした事態の再発を防ぐため、サプライチェーンに組み込む企業のBCPが注目されてきました」

 さらに、阪神大震災や新潟の震災のように、かつては起こらないと言われていた不測の自然災害が相次いでいること、2009年の新型インフルエンザ流行のような未経験の脅威を身近に経験したことなども、BCPへの取り組みを後押ししている。

 一方で、2008年末から続く不況の下、こうした流れを受けてBCPへの取り組みを余儀なくされている中堅中小企業はいっそう厳しい経営を強いられることになる。しかし、逆に考えればこれは自社ビジネスを強化する策にもなり得ると津田氏は言う。

「サプライチェーンの核となる企業は、安定してビジネスを進められる仲間を求めています。同じ製品を供給している企業が複数あれば、より安定して供給してくれる企業、つまりBCPにしっかり取り組んでいる方の企業を選択するでしょう。品質だけではなくBCP対応能力が選択基準のひとつになっている今、BCPは自社ビジネスを守るだけではなく強化する施策でもあるのです」

 BCPへの取り組みを後押しする動きは、ほかにもある。有価証券報告書に掲載されるBCPへの取り組み内容を見て、投資家が投資対象としての安全性の指標にするようになってきている。また、金融機関はBCPへの取り組みをしている企業に優先的な融資を行ったり、BCPへの取り組み自体に対して融資を行うこともあるという。

「金融機関から見れば、BCPに取り組んでいる企業は安全で優良な顧客ですから、BCPへの取り組みには好意的です。金融機関だけではなく自治体からBCPへの公的補助を得られる場合もあります。こうした制度を活用できる今のタイミングは、BCPへの取り組みを考えるチャンスなのかもしれません」

 津田氏が言うとおり、BCPへの取り組みに対して雛型の提供やアドバイザーの派遣などの支援制度を開始している自治体もある。これは、災害時にすべての復旧を自治体で行うのではなく、力のある企業には地力で立ち直ってもらい、地域全体を素早く復興させる狙いがある。こうした制度もうまく活用すれば、BCP策定に必要な投資を低く抑えられるので、ぜひともチェックしておきたいところだ。

 外的環境の変化に対応するという面だけではなく、自社ビジネスを守るという観点からもBCPは重要だと、津田氏は補足する。中堅中小企業は特定の商品や特定のサプライチェーン、特定の顧客層に依存しがちだ。ビジネスの幅が大きい大企業に比べて不測の事態に見舞われる危険性は高い。事業継続性の確保はすなわち、企業継続性の確保につながる。

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