BOPとは、所得階層で見たピラミッド構造の底辺にいる世界の経済的貧困層を意味する。C.K.Praharadは、BOPを2ドル以下の40億人と規定しているが、2ドル以下の人たちはWEF(World Economic Forum)の試算では、27億人ということになる。ここでは、BOPを1日2ドル以下で生活する世界人口のおよそ40%を占める26億人の人たちとしている。具体的には、1日1ドル以下で生活する10億人の人たち、および1~2ドル層の16億人の人たちを意味する。
なお、1日2~8ドルの11億人の人たちの総計37億人、およそ40億人の人たちを総称してNext 4 Billion(WEF,2009)という用語も登場している。その基準によると、2008年現在の世界の人口約67億人のうち、1日一人当たり8ドル、年ベースで3,000ドル以下の購買力平価ベース(2000年のPPP)の層の人たちをBOPとした場合、世界人口の半数以上の55%の人たちがBOPに該当することになる。そのうち、1日2~8ドル層が16.4%、1~2ドル層が23.9%、そして最下層の1ドル以下が14.9%の構成となっている。いずれにしても、1日1ドル以下の最低限の生活すら出来ていない層が21世紀においても世界の総人口の約15%を占めていることを意味する。
本稿では、このWEFの基準に従うと、インドやフィリピンの中産階級の人たちを含む大部分の人たちがBOPに算入されてしまい、社会的解決課題の焦点が曖昧になってしまうことになるため、BOPの基準を1日2ドル以下とする。