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  • 2011/08/26

BOPの意味とBOP論の登場 : 【連載】多国籍企業のBOP戦略は発展途上国の貧困問題を解消できるか?

林 倬史研究室(国士舘大学経営学部)

いま、従来の経営戦略論、さらに経済発展論や開発経済学の再検討が求められている。そのためのキーワードの一つが、「BOP(Base/Bottom of the Pyramid)戦略」である。

BOPの意味

 BOPとは、所得階層で見たピラミッド構造の底辺にいる世界の経済的貧困層を意味する。C.K.Praharadは、BOPを2ドル以下の40億人と規定しているが、2ドル以下の人たちはWEF(World Economic Forum)の試算では、27億人ということになる。ここでは、BOPを1日2ドル以下で生活する世界人口のおよそ40%を占める26億人の人たちとしている。具体的には、1日1ドル以下で生活する10億人の人たち、および1~2ドル層の16億人の人たちを意味する。

 なお、1日2~8ドルの11億人の人たちの総計37億人、およそ40億人の人たちを総称してNext 4 Billion(WEF,2009)という用語も登場している。その基準によると、2008年現在の世界の人口約67億人のうち、1日一人当たり8ドル、年ベースで3,000ドル以下の購買力平価ベース(2000年のPPP)の層の人たちをBOPとした場合、世界人口の半数以上の55%の人たちがBOPに該当することになる。そのうち、1日2~8ドル層が16.4%、1~2ドル層が23.9%、そして最下層の1ドル以下が14.9%の構成となっている。いずれにしても、1日1ドル以下の最低限の生活すら出来ていない層が21世紀においても世界の総人口の約15%を占めていることを意味する。

 本稿では、このWEFの基準に従うと、インドやフィリピンの中産階級の人たちを含む大部分の人たちがBOPに算入されてしまい、社会的解決課題の焦点が曖昧になってしまうことになるため、BOPの基準を1日2ドル以下とする。

BOPの事業戦略上の重要性

 21世紀に入り、国際ビジネスの領域において、ブラジル、ロシア、中国、インドのいわゆるBRICs、さらにはVISTAと称されるベトナム、インドネシア、南アフリカ、トルコ、アルゼンチン等の市場が急速に戦略的重要性を増してきた。

 主な理由は、これら諸国の市場規模の絶対的拡大と、先進国市場の停滞に伴う相対的重要性の拡大である。上記の諸国の人口だけで約34億人にも及び世界の人口(2009年推計約68億人)のほぼ50%を占める。そしてBOPの人たちの多くは、まさにこれらの諸国に住む人たちでもある。

 例えば、インド総人口のうち、所得が1日当たり1ドル以下の人たちは32%、同じく1日1~2ドルの人たちは47%、したがって所得が1日2ドル以下の人たちは計79%に及ぶことになる。同じく、もうすぐ人口が1億人になるフィリピン(2010年推定人口9,400万人)のBOP層(一人当たり所得が1日2ドル以下)は人口の約70%を占めている。従来、先進国の企業は、こうした層をあまりにも貧しく、購買力も小さいため、マーケット規模としては取るに足らない、魅力に乏しい市場として認識してきた。

こうした中で、BOPの戦略的重要性を主張するいわゆるBOP論が登場してきたのである。

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