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  • 2011/12/05 掲載

ソーシャルメディア革新(2):顕在化する4つの消費タイプと企業に求められるソーシャルメディア活用

B2CだけでなくB2Bも変えるソーシャルメディア

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前回は、ソーシャルメディアによるコミュニケーションの変化、ソーシャルメディアとマスメディアとの関係について取り上げた。今回はソーシャルメディアによってもたらされた消費の変化と企業における具体的な活用方法について紹介する。ソーシャルメディアは「ネタ消費」「プレゼント消費」「ゆる誘い消費」「玉突き消費」という4つの新しい消費のタイプを顕在化させた。また、企業がSNSを利用して顧客の拡大とロイヤリティ向上を実現するケースも増えてきた。

執筆:レッドオウル 西山 毅、構成:編集部 松尾慎司

執筆:レッドオウル 西山 毅、構成:編集部 松尾慎司

レッド オウル
編集&ライティング
1964年兵庫県生まれ。1989年早稲田大学理工学部卒業。89年4月、リクルートに入社。『月刊パッケージソフト』誌の広告制作ディレクター、FAX一斉同報サービス『FNX』の制作ディレクターを経て、94年7月、株式会社タスク・システムプロモーションに入社。広告制作ディレクター、Webコンテンツの企画・編集および原稿執筆などを担当。02年9月、株式会社ナッツコミュニケーションに入社、04年6月に取締役となり、主にWebコンテンツの企画・編集および原稿執筆を担当、企業広報誌や事例パンフレット等の制作ディレクションにも携わる。08年9月、個人事業主として独立(屋号:レッドオウル)、経営&IT分野を中心としたコンテンツの企画・編集・原稿執筆活動を開始し、現在に至る。
ブログ:http://ameblo.jp/westcrown/
Twitter:http://twitter.com/redowlnishiyama

ソーシャルメディアが加速する4つの消費タイプ

 前回ご紹介したコミュニケーションの変化やメディアの変化は、実生活にも大きな影響を及ぼしている。それが消費の変化だ。

 野村総合研究所 ICT・メディア産業コンサルティング部 主任コンサルタントの杉山誠氏は、消費の変化を引き起こすきっかけとなった要因を5つに分類する。

 まず“情報伝達が容易になった”ことで、従来発信してこなかった「1.自分情報の発信拡大」をもたらし、さらにそれは「2.他人情報の取得容易化」をもたらした。

 次に、情報伝達の容易になったことに加えて、“人との関係性を管理することが容易になった”ことで、周囲から認められやすい「3.自分中心の関係性構築」ができたこと、さらに対象や最終的な目的を定めない「4.“ゆるい”コミュニケーション」を実現し、多人数や有名人などとの「5.現実では難しい関係性の構築」を可能にした。

「ソーシャルメディアによって、たとえば目的もなくつぶやきながらも、心の奥底では何かしらの反応を期待している、というような“ゆるい”コミュニケーションが生まれた。また、疎遠になっていた学生時代の友人との関係の復活、といった現実ではなかなか難しい関係性の構築も可能にしている」(杉山氏)

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図9 消費の変化を引き起こすきっかけとなった5つの要因

 これに伴って、新たな4つの消費タイプが生まれてきた。それが「ネタ消費」、「プレゼント消費」、「ゆる誘い消費」、「玉突き消費」だ。

 1つめの「ネタ消費」は、「自分情報の発信拡大」と「自分中心の関係性構築」の2つの要因から生まれたもので、人にはアピールしたいという欲求があり、それを満たすような消費が生まれているということだ。

「たとえば地方の珍しいお土産を買って、写真と一緒に“こんなお土産を見つけた”とFacebookに投稿することで、繋がっている人たちから、“知らなかった”“今度買ってみよう”というようなコメントが入り、自分がコミュニケーションの中心に立つことができるというもの」(杉山氏)

 さらにこのネタ消費は「隠れオタク型」、「エンターテナー型」、「自己顕示・自分追い込み型」、「愉快犯型」の4パターンに分けられる。

 隠れオタク型は、自分の中に好きなものがあり、それをアピールしたいタイプ、エンターテナー型は先の例のように、コミュニティの中心的に立ちたいタイプ、自己顕示・自分追い込み型は、英会話やダイエットなど、自分一人では長続きしないものをソーシャルメディア上で見せることで自分を追い込み、消費活動を行うタイプ、愉快犯型は、“飲んだ後にラーメンを食べてしまった”というような話を書いて、知人から突っ込まれることも想定しながら喜ぶタイプだ。

 杉山氏は、こうした「ネタ消費」だけの消費規模として、NRIが実施した「ソーシャルメディアの利用のアンケート」と総務省の「家計調査」から推計したところ、約3,400億円にのぼったという。

画像
図10 ソーシャルメディアによって顕在化した消費(1):ネタ消費の4つのパターン

 2つめの「プレゼント消費」とは、「他人情報の取得容易化」と「現実では難しい関係性の構築」から導かられるものだ。

「ソーシャルメディアによって、友人がどんなものが好きか、あるいは今どんなものを欲しがっているのかということが分かる。それによって、新たにプレゼントのための消費が生まれていると見ている」(杉山氏)

 プレゼント消費もさらに「おひとついかがギフト」、「あいさつギフト」、「外さないギフト」の3パターンに分類できる。

 おひとついかがギフトはまとめて買ったもののおすそ分け、あいさつギフトは日頃のコミュニケーションの一環としてのプレゼント、外さないギフトは、まさに相手の欲しいものが分かるからこそできるプレゼントだ。

「実はおひとついかがギフトとあいさつギフトは、昔はよくあった消費パターンだが、時代の移り変わりとともに少なくなってきた。それがソーシャルメディアによって、また復活してきた」(杉山氏)

 このプレゼント消費の規模感は、現時点で約1,700億円。

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図11 ソーシャルメディアによって顕在化した消費(2):プレゼント消費の3つのパターン

【次ページ】既存のコミュニケーション手段を代替し始めたソーシャルメディア

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