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  • 2017/04/06 掲載

儀式化した会議を変えるのは、「最強の事前準備」である

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世の中には、既定の方針をただ読み上げるというただの「儀式」のような会議が存在する。討議事項については事前に論じつくされ、意思決定すらもがなされている。それをあたかもなかったかのごとく振る舞って、討議をする素振りをして、参加者にイエスということを強要する。こうした会議を変えるための「事前準備」のコツを解説しよう。

プロジェクト進行支援家 後藤洋平

プロジェクト進行支援家 後藤洋平

予定通りに進まないプロジェクトを“前に”進めるための理論「プロジェクト工学」提唱者。HRビジネス向けSaaSのカスタマーサクセスに取り組むかたわら、オピニオン発信、ワークショップ、セミナー等の活動を精力的に行っている。大小あわせて100を超えるプロジェクトの経験を踏まえつつ、設計学、軍事学、認知科学、マネジメント理論などさまざまな学問領域を参照し、研鑽を積んでいる。自らに課しているミッションは「世界で一番わかりやすくて、実際に使えるプロジェクト推進フレームワーク」を構築すること。 1982年大阪府生まれ。2006年東京大学工学部システム創成学科卒。最新著書「予定通り進まないプロジェクトの進め方(宣伝会議)」が好評発売中。 プロフィール:https://peraichi.com/landing_pages/view/yoheigoto

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儀式と化した会議を変えるために「事前準備」を徹底せよ
(© arsdigital – Fotolia)


会議ファシリテーターに求められる役割

 世の中の会議は、おおむね7つのパターンに分類することができ、一般に「意味がない」と思われがちな順序に並べると、下記の通りとなる。

1.トップのストレス発散型
2.完全形骸化型
3.儀式型
4.ブレスト漂流型
5.責任追及型
6.上意下達指示伝達型
7.ネクストアクション志向型

 何度も繰り返しとなるが、以前にも取り上げた通り、理想は7の「ネクストアクション志向型」だ。

 会議が意味のあるものであるためには、「会議とは、参加者の現状認識を揃え、次に何を狙いとして、どのようなアクションを取るかの合意をする場であると心得よ」の原則を守る以外にない。

 しかし現実問題、全てが理想通りに進むわけではない。会議とは、さまざまな人が、さまざまな意図のもと、さまざまな目的によって開催される。「前からこうだから、とりあえずそれを守りたい」という消極的な意図のもとに開催される会議も珍しくないのだ。

 「弘法筆を選ばず」ということわざがあるが、会議ファシリテーターたるもの「あるものを活かす」精神で、それがたとえ理想の会議体でなくとも、会議に意味を与えていくことが重要である。より積極的な言い方をするのならば、「ある会議を、陰ながら前向きにする力」こそ、会議ファシリテーターの面目躍如たるところである。

 会議には、必ず意図がある。いかに「ネクストアクション志向型」が理想といえども、日本式組織においては、特定の人間がスタンドプレー的に会議の方向付けを行うと、いかにそれが無私の精神にもとづいた善意であったとしても、独裁、傍若無人、私物化のそしりをうけることになる。

 組織がそのポテンシャルを最大限に発揮するためには、あらゆるメンバーのリーダーシップを引き出すことが必要なのであり、そのためには、会議ファシリテーターはスタープレイヤーではなく、審判、解説者、実況の役割を担うべきである。

現実にはなくならない「儀式型会議」の闇

 既定の方針をただ読み上げるだけの会議、というものが世の中にはある。これぞまさに「儀式型会議」と呼ぶべき類型である。

 討議事項については事前に論じつくされ、意思決定すらもがなされている。それを、あたかもなかったかのごとくふるまい、討議をするフリをして、参加者にイエスということを強要する。

 このように書くといささかオーバーかもしれないが、実際に、会議とは名ばかりで、トップとその取り巻きのブレーンが考えた既定路線をメンバーに周知するだけ、という会議は世の中に数多く存在する。国会は国民の代表機関などと言われるが、実態としてはこの種の会議の代表だろう。

 先に結論まで出ているのだとしたら、その賛成者にとっては時間のムダである。また、反論が許されないのならば、反対するものにとっても時間のムダである。一体なんのための会議なのか、という感じがする。

 これが世にある理由は明解で、組織的な意思決定というものは、多くの場合、全ての関係者の利害を満たすことはできない、ということによる。

 身近な例で言えば、営業に都合のいい社内ルールは、往々にして総務の手間を増やすものであり、また逆も然りである、というその手の話である。

 誰かが何かを飲み込むために、「トップの意思決定」という根拠が必要で、それは時に、判子の押された紙であったり、面と向かった意思表明であったりする。

 面倒な話だが、やはり会議というプロセスがないと物事が前に進まない、ということは現実として存在する。

 では、こうした会議を意味あるものにする、あるいは多少なりともマシなものにするためにはどうすればいいのか。会議の場ではなくそれ以前の段取り、つまり「事前準備」に注目するのである。

【次ページ】儀式型会議を意味あるものにする4つの事前準備

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