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  • 2017/04/27

パナソニックの米国スマートシティ計画「シティナウ」は何がスゴいのか?現地で見てきた

パナソニックが手がける神奈川県藤沢市発祥のスマートシティ計画が今、世界中に広がっている。中でも米コロラド州デンバーが全面的に協力し、都市を丸ごと省エネ化、効率化する計画として全米からも注目を集めているのが「CityNOW(シティナウ)」だ。モビリティ、ビルディング、エネルギー、リビング/ホームと極めて多岐にわたる取り組みにはどのような狙いがあるのか?現地で話を聞いてきた。

米国在住ジャーナリスト 土方 細秩子

米国在住ジャーナリスト 土方 細秩子

米国在住のジャーナリスト。同志社大学卒、ボストン大学コミュニケーション学科修士課程修了。テレビ番組制作を経て1990年代からさまざまな雑誌に寄稿。得意分野は自動車関連だが、米国の社会、経済、政治、文化、スポーツ芸能など幅広くカバー。フランス在住経験があり、欧州の社会、生活にも明るい。カーマニアで、大型バイクの免許も保有。愛車は1973年モデルのBMW2002。

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米デンバーにあるパナソニックPESCOのオフィス
(写真:筆者撮影)


パナソニックは世界中で「スマートシティ」を展開

 パナソニックが米コロラド州デンバーで、市と提携したスマートシティ計画「シティナウ」を進めている。日本で最初に開発し、評判となった藤沢市をモデルに、規模や展開するソリューションを拡大させたものを長期計画で実現させるのが目的だ。

 パナソニックによるスマートシティは藤沢だけではなく日本の綱島、兵庫県芦屋のパナホームスマートシティ、中国の大連ベストシティ、ロシアモスクワのスコルコボスマートシティ、マレーシアのイスカンダル、と世界中で展開されている。

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パナソニックによるスマートシティ計画は世界中に広がりを見せている
(資料提供:パナソニック・エンタープライズ・ソリューションズ・カンパニー(PESCO))


 しかしデンバーのものは州、市が全面的に協力、初期計画段階でも空港からRTD電車(RTD Light Rail)で一駅のところにあるペニャステーション付近の400エーカー(東京ドームおよそ35個分)という広大な土地での計画であり、同様の計画に興味を示す全米の都市からの注目を集めている。

 パナソニックが参画する「ペニャステーション・ネクスト」に、デンバー市、コロラド州交通局、デンバー国際空港、電力会社エクセルエナジー、RTD(公共交通)が協力し、未来型都市の可能性を探る。

 計画そのものは2016年の米大手家電見本市のCESで発表され、今年のCESでも進捗状況などの記者発表があった。今回、現地でパナソニック・エンタープライズ・ソリューションズ・カンパニー(PESCO)の上級副社長、ジャレット・ウェンツ氏に話を聞くことができた。

なぜデンバーだったのか

 デンバーが選ばれた理由についてだが、まずは巨大な空港の存在が挙げられる。デンバー国際空港は土地の広さとしては全米一であり、ユナイテッド航空のハブ空港の一つだ。またデンバーは全米で最も人口増加率の高い都市の一つで、住民の平均年齢は34歳という。

 さらにコロラド大学など優秀な大学もいくつかあり、研究機関も招致しやすい。そしてウェンツ氏が強調したのはコロラド州、デンバー市が「米国に藤沢のようなスマートシティを」という計画に対し非常に協力的であり、いかなる法的な障壁も取り払う用意がある、と伝えたことにある。

 デンバーは元々鉱山業などで栄えた町だが、現在ではそうした古いビジネスは衰退している。空港から市の中心部に向かうと、レンガ作りの鉄鋼をはじめとする製造業の跡地が見える。

 しかしこうした古い産業の衰退とともに寂れる都市も多い中で、デンバーは貿易・交通・ユーティリティ、あるいはビジネスサービス、教育、レジャー観光産業などを着実に育て、都市としての若返りに成功した。まさにスマートシティ計画にはうってつけの場所と言える。

スマートシティ計画の5本の柱

 デンバーのスマートシティ計画は現時点で基本的に5本の柱からなる。スマート・リビング、スマート・モビリティ、スマート・ビルディング、スマート・エネルギー、スマート・ストリートである。

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パナソニックのシティナウにおける5本の柱
(資料提供:PESCO)


 中心にデンバーのマイケル・ハンコック市長やウェンツ氏が参画する委員会があり、その下に5本の柱それぞれを担当する部門がある、というバーチャルの組織で、公民が協力しあって計画を進めて行く。

 まず現時点での成果だが、2016年9月にパナソニックのPESCOオフィスが完成、場所はペニャステーションから徒歩5分の位置にある。

 駅とオフィスの間にはペニャステーションを利用する人のための駐車場があるが、この駐車場を覆っているのがソーラーパネルだ。ここで発電された電力はPESCOオフィス裏手にあるパワーストレージユニットに蓄えられるが、これがデンバー初のマイクログリッド(複数の発電・蓄電設備をネットワーク化し、電力需要にあわせて最適制御するシステムのこと)となる。

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駐車場を覆っているのがソーラーパネルだ。ここで発電された電力は蓄電され、オフィス等で利用される
(写真:筆者撮影)


 ソーラーとバッテリーユニットを組み合わせたマイクログリッドは今後のスマート・ビルディングでも展開される。現在PESCOオフィスの屋上にもソーラーパネルの設置が進んでいる。

【次ページ】街灯や道路もスマート化、今夏からスマート・ハイウェイ計画も

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