働き方改革の一歩は、残業抑制から
今、企業の労働環境に社会的関心が寄せられている。過剰労働に起因する痛ましい事件が報じられ、労働環境の見直しが求められるようになってきた。
こうした事件は大企業に限った話ではなく、中小企業でも発生する可能性がある。ただでさえ人材不足が叫ばれる状況下、「過酷な労働環境」であるというイメージがついてしまえば、人材確保は難しい。労働環境の改善は中堅・小規模企業にとって重要な課題なのだ。
静谷氏は「一般的な中小企業でも、労働環境の改善に手を打たなければいけないという意識はあるようです。しかし一言で『働き方改革』といっても、一体何から始めれば良いのかわからないというお客さまも多いようです」と現状を分析する。
では労働環境を改善するためには、まず何からスタートするのが良いのだろうか。静谷氏は「第一歩は業務の見直しです」と指南する。
「今、企業の長時間労働が問題になり、働き方の見直しを図ろうという気運があります。とはいえ従来の仕事が減ることはありませんから、どうやって業務を効率化していくのか? ということがポイントになります。そこで『働き方改革』というキーワードがクローズアップされているのです」(静谷氏)
残業を減らすためには、仕事の効率を上げるか、仕事のやり方を変えるしかないのが実情だ。そうなると最終的にIT化による業務改革が威力を発揮することになる。たとえば、仕事のすき間時間や移動時間を無駄にせず、うまく有効活用することは定石の1つだ。これまで紙で行っていた業務をシンプルなプロセスにするために、アプリやWebサービスを導入することも選択肢に入るだろう。
「ただし、中小企業が大企業と同じことをすぐに始められるかというと、そうでもない。そこで最初の一歩として簡単にできるものに、一斉消灯が挙げられます。これは『終業時間になったら帰りましょう』という意識を社員にしっかり身につけてもらうものです。まずは帰りやすい雰囲気にすることが大切です」(静谷氏)
仕事にメリハリをつけ、「ズルズル残業」をなくすことから始めようというわけだ。
また、「サービス残業」削減も重要だ。このためには、社員の勤怠管理を見える化する必要がある。社員が利用するPCのログを監視するようなツールを活用するのも一考だ。
「勤怠状況とPCのログを照らし合わせれば、社員が本当にサービス残業をしていないかをチェックできます。残業申請をしないと、PCを使えないようにすることも可能です」(静谷氏)
さらに、闇雲に残業を減らすのではなく、不公平感を解消するような社内ルールを整える工夫も必要だ。
たとえば、同じ仕事をしている場合に残業が少ない社員のほうがボーナスが高くなる、といったルール作りでもよいだろう。業務を早く終えて帰る人を評価する制度が働き方改革に結びつくからだ。
テレワーク導入で業務の効率化を実現する!
ズルズル残業やサービス残業を抑制するのは良いことだ。しかし、やるべき仕事量は以前と変わらない。そうなると、いかに仕事をうまく処理していくかという「業務効率化に結びつく施策」を練らねばならない。
静谷氏は「会社に来なければ仕事ができないという環境をいかに解消していくかがキーになると思います。たとえば、移動時の車中や、出張先のホテル、在宅勤務など、いつでもどこでも仕事ができる環境を構築することがポイントになります。とはいえ、まだ中小企業では、コストがかかる、導入の敷居が高い、というイメージから、テレワーク環境が整備されていないところも多い。しかし、実はテレワークは簡単に導入できるのです」と説明する。
テレワークを実現するには、遠隔地(リモート)から社内のシステムに安全にアクセスできる環境が必要だ。以前であれば、SSL-VPNのような高価な装置を社内と拠点に設置するなど、それなりに準備が大変だった。しかし、現在はその状況が大きく変わりつつある。
静谷氏は「いまではリモートアクセスを実現するソリューションも進歩しており、低コストで導入できる時代になりました」と力説する。
「たとえば、大塚商会が提供しているリモートアクセスのサービスを利用すれば、ID・パスワードを入れれば、すぐに社内のネットワークに接続でき、まるで社内にいるかのように作業を進められます。月額コストもある程度の人数が利用すれば一人あたり数百円のレベルです。こうしたサービスを利用しているお客さまからは『残業が減った』『営業の訪問件数が増えた』という声を多くいただいております」(静谷氏)