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  • 2019/02/25

シャークニンジャ社長に聞く “ダイソンを抜いた”今、なぜ日本を目指すのか?

ここ数年でダイソンを抜き去り、米国掃除機マーケットにおいてシェアトップを獲得した注目のブランド「Shark(シャーク)」。昨年夏、満を持して日本に上陸した勢いそのまま、数々の製品を矢継ぎ早にリリースしTVCMでも注目を集めた。同社が展開する、日本市場を徹底的に研究した戦略とは? 日本法人であるSharkNinja(シャークニンジャ)社長、ゴードン・トム氏に話を聞いた。

Miho Iizuka

Miho Iizuka

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日本のフロアケア市場を約20年にも渡り見続けてきた、シャークニンジャ社長ゴードン・トム氏

元ダイソン社長、日本市場は「世帯数」に注目

 2018年7月、コードレス掃除機やスチームモップなどを扱う北米有数の家庭用フロアケアブランド「Shark(シャーク)」が日本に上陸した。米国ではダイソンより売れている、掃除機シェアNo.1のブランドだ。

 近年の海外家電メーカーの日本市場参入を振り返ると、「日本人の性質をいかに綿密にとらえられたかどうか」が、顕著に結果として表れている。その点、シャークニンジャ日本法人の社長に就任したゴードン・トム氏は、ライバル企業のダイソン日本法人初代社長も務め、日本のフロアケア市場を約20年にも渡り見続けてきた人物だ。

 そのゴードン氏は、日本市場で注目すべきは「世帯数」だと言う。

 確かに、人口は減っているが「独身世帯数」の数は今後も上昇の傾向にある。祖父母、父母、子どもという3世代が同居し、父母の兄弟姉妹なども含めた大家族はもはや貴重な存在となっている。大きな1つ屋根の下に複数世帯が暮らしていた昭和の時代は、現代人にとって遠い歴史の中の家族像だ。

 ライフスタイルもさまざまで、個人が多拠点で暮らすことも珍しくない。家や車においてはシェアハウスやシェアライドなど、個人で所有せずに複数人で共有して利用するスタイルが広がっているが、生活家電という日用必需品はなかなかそうはいかない。逆に一人で複数台を所持し、シーンやインテリアに合わせて使い分ける、といった新たな「ファスト家電」「ファストガジェット」な文化が生まれつつあるといってよいだろう。

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Sharkの家電製品。中でも、コードレスハンディークリーナー『EVOPOWER』は発売4カ月後の2018年12月にコードレスハンディークリーナー市場で売上げ台数1位を獲得。本国のSharkにとって、日本はいま最も重要な市場として位置づけられている

なぜ海外家電ブランドは日本市場を重視するのか

 しかし、なぜ日本市場を重要視するのか。その理由は意外にも明確である。

「たとえば、アメリカ人が掃除機を購入するときに踏む意思決定のステップは、とてもシンプルです。まず“掃除機が必要だ”という用途があって、それを満たす機能と予算を決めます。それ以外の候補が検討リストに入ってくることがほとんどないんですね。

 ビジュアルや他人から見てどうかは、そこまで気にしません。自分にとって必要なモノかどうかだけでジャッジするので、店舗や販売ページを何回も行ったり来たりもしない。ほぼワンタイム、その場で購入を決定します」(ゴードン氏)

 グーグルが以前発表した、カスタマーエクスペリエンスの調査データによると、日本人は世界中で最もマーケティングにおける意思決定に「迷い」の多い国民性だという。ある1つの商品を購入するに至るまで、約130ものタッチポイントを経ることもあると言われている。アメリカ人の平均と比較するとおよそ10倍もの差がある。

 日本は比較的、白物家電やスマートフォンや車など、ガジェットに目がない国民性で、モノに宿る精神性やデザインに込められた職人の想いを受け取る感受性が成熟していると言われる。和菓子、織物、染物、伝統工芸、仏像芸術……細やかな表現力は日本の誇る芸術でもあり、それを品定めすることや、知っているか、所持しているかどうかを媒介にして、相手の価値や自身との距離感を計ろうとする、ハイコンテクストな民族性も強い。これは、よくも悪くも作用する独特な市場なのだろう。

 この複雑怪奇な行動心理は、「最もハードルの高いテストマーケット」だという。メイドインジャパンならぬ、ユーズドインジャパンであることへのブランド力こそ、いま日本が最も海外家電ブランドから注目される大きな理由である。

【次ページ】IoTやAIなどの“家電トレンド”「使われなければ意味がない」と一蹴

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