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  • 2020/02/17

【数字で見る】パワー半導体 市場動向を解説、日本勢は勝ち残れるのか

半導体市場で、日本勢がシェアも競争力も保っている分野が「パワー半導体」だ。電気自動車をはじめとする、xEV(次世代車)の需要の大きな伸びに伴い、パワー半導体市場の成長は確約されているとも言える。半導体素子の開発競争も激化しており、現世代のシリコン(Si)から、次世代の炭化ケイ素(SiC)、窒化ガリウム(GaN)、さらに次々世代の酸化ガリウム(Ga2O3)へ、世代交代が進むと予想されている。日本勢は「パワー半導体強国」の地位を守るべく、生産増強や研究開発にしのぎを削っている。

経済ジャーナリスト 寺尾 淳

経済ジャーナリスト 寺尾 淳

経済ジャーナリスト。1959年7月1日生まれ。同志社大学法学部卒。「週刊現代」「NEXT」「FORBES日本版」等の記者を経て、経済・経営に関する執筆活動を続けている。

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さらなる成長が見込まれるパワー半導体は、電子技術立国ニッポンの命運を握る
(Photo/Getty Images)

パワー半導体とは

 半導体とは、電気の状態によって導体(電気を通す物質)と絶縁体(電気を通さない物質)のいずれかの性質をもつ物質のこと。その中で、高い電圧や大きな電流を扱え、電源の電力をコントロールするものを「パワー半導体」と呼ぶ。

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パワー半導体とは

 扱える電圧や電流が大きい特徴を生かし、大電流・大電圧がかかる発電・送電設備や、産業用ロボットなどのFA機器、建設機械やビル、新幹線、コンピューターなどの情報通信機器や家電製品に至るまで用いられている。まさに「産業のコメ」である。

 「省エネ型エアコン」のインバーターにはパワー半導体が使われ、モーターの回転数を変えて温度を調節しながら効率運転で電力消費を抑える。電気自動車(EV)ではメインモーターに匹敵する最重要部品である。

パワー半導体の市場規模予測

 このパワー半導体は、まぎれもなく成長市場だ。矢野経済研究所のレポート「進展するパワー半導体の最新動向と将来展望2018」によると、2017年は177.5億米ドルだったパワー半導体の世界市場は、2025年には299.2億米ドルに伸び、8年で68.6%拡大すると予測されている。そのCAGR(年平均成長率)は6.7%だ。

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パワー半導体の世界市場規模予測

 かつて「半導体王国」だった日本は、現在はインテル、マイクロン、ブロードコム、テキサスなどの米国勢や、サムスン、SKハイニックスなどの韓国勢に押され、半導体全体でのシェアを大きく落とした。米国のICインサイツの調査では、日本は1990年、売上高シェア49%で世界のトップを占めていたが、2017年は7%まで低下している。

パワー半導体の世界シェア

 もっとも、パワー半導体の分野に限れば、日本勢は健闘している。英国のIHSマークイットの調査によると、売上高の順位は三菱電機が3位、東芝が4位、富士電機が6位で、3社合計で20.6%に達する。これは、首位のインフィニオン・テクノロジーズ(ドイツ)に次ぐポジションだ。日本勢上位3社は、車載用需要の拡大を見込んで増産投資を行っている。

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パワー半導体の世界シェア

 7位以下にも、炭化ケイ素(SiC/シリコンカーバイド)パワー半導体で進境著しいロームなどが入っており、国別シェアでみると日本はドイツに次ぐ第2位につけている。

 また、富士経済が2019年9月に発表したレポート「2019年版パワーデバイス関連ビジネス企業戦略総調査」によると、2018年の地域別シェアは欧米系57.2%に対し、日系は33.1%で、メモリーに強い中国・アジア系は9.7%にとどまる。

 パワー半導体は多品種少量生産の製品で、顧客のニーズに合わせたカスタマイズ生産で高度なノウハウを必要とする。その点は、新興国への技術移転が比較的容易な量産型メモリーとは事情が異なる。

 しかも省エネへの要求水準が高く、日本勢は技術的な強みを発揮しやすい。そのため、パワー半導体の主要需要先である自動車や産業用ロボットでは、日本企業は世界市場で高いシェアを有している。

 日本企業にとって有利に働きそうな条件がそろうパワー半導体市場であるが、その中でも直近の成長が期待されるのが、SiCパワー半導体である。さらにその先には、窒化ガリウム(GaN)、酸化ガリウム(Ga2O3)を使用した研究開発が進んでおり、その市場を各国各社が狙っている状況だ。

【次ページ】次世代素子のSiCの市場予測、次々世代素子も10年後には次世代を超える勢い

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