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- 2022/08/31 掲載
大流行したスマホゲーム『アングリーバード』でいくら儲かった?ヒット作の経済効果
連載:キャラクター経済圏~永続するコンテンツはどう誕生するのか(第3回)
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2010年、世界中で大ヒットした『Angry Birds』
2009~2010年頃、世界中で大ヒットしたパズルゲーム『Angry Birds(アングリーバード)』を知っているだろうか。アングリーバードは、2003年にヘルシンキ大学の学生が立ち上げた、ノキアのガラケー向けのコンテンツ会社「Rovio Mobile(現Rovio Entertainment、以下ロビオ)」から生み出された「52作目(2009年)」のゲームである。当時、アップルは「App Store」を2008年7月にリリースしたばかりであり、このアプリストア自体の成長がアングリーバードとともにはじまったと言えるほど、2009~2010年ごろは全世界の無料ゲームランキングを独占し続け、結果「最も早い速度で売れたアプリ」としてギネス記録にもなっている。
だが、そのロビオが、その後どんな進化を遂げているかについてはあまり知られていないのではないだろうか。同社は2011年に4億2,000万ドルの出資を集め、何社も開発会社を買収し、20億ドルを超える買収オファーを退けながら、2012年にはスターウォーズとのコラボ作品がリリースしたほか、家庭用ゲーム業界にも進出し、世界初の10億ダウンロードに到達する。2013年にはテレビアニメ化され、2014年ついには20億ダウンロードまで到達する。
だが、盛者必衰、事業の成長スピードがそのまま諸刃の剣として凋落の原因になることはよくある話だ。同社もまた例外ではなかった。
ゲーム、アニメや映画など度重なる投資が回収に至らず、2014年末に社員110名のリストラを発表する。2015年にはMD(商品化)・グッズ収入が昨対比4割減となったタイミングで、さらに260名のリストラを決行。2015年の赤字決算は象徴的で、いまだロビオをこの時点のままの凋落イメージで見ている人も多いことだろう。しかし、ロビオはそのまま消えていったわけではない。
『Angry Birds』を生んだロビオ社は“優良企業”と言えるワケ
図表1で見るように、「底」となった2015年の1.5億ユーロから売上は2年後には倍増しており、ゲームもライセンス事業も利益率は回復している。回復の兆しをつくったのは映画とゲームである。2016年映画第1作目の『Angry Birds Movie』は全世界で3.5億ドルの興行収入となり(制作費も7,300万ドルと、かなり高額なリスクテイクは行ったものの)米国だけでなく、全世界で好評を博した。2019年の第2作『The Angry Birds Movie 2』はその半分程度の1.47億ドルだが、それとて決して悪い数字ではない。
急回復は本丸のモバイルゲーム事業で果敢に攻め続けた成果だとも言える。52作目のアプリの後、そこから10年強でロビオは類似ゲームアプリを31作品もリリースしている。その中でも正統な進化版として2015年に出された『Angry Birds 2』が大きく貢献し、先述の映画とあわせて2017年以降は安定的に年商3億ドル、利益3,000万ドルを稼ぐ優良企業になった。
【次ページ】わざわざ儲からない「モバイルゲーム市場」に挑戦した理由
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