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- 2022/11/04 掲載
アップルもiPhone製造を本格化、これからはインドが「世界の工場」になるワケ
英大学院修了後、RPA企業に勤務。大手通信社シンガポール支局で経済・テクノロジーの取材・執筆を担当。その後、Livit Singaporeでクライアント企業のメディア戦略とコンテンツ制作を支援(主にドローン/AI領域)。2026年2月、シンガポールで「SimplyPNG」を設立し、AI画像編集のモデル運用とGPUコスト最適化を手がける。主にEC向け画像処理ワークフローの設計・運用自動化に注力。
アップル、iPhone14製造の一部をインドにシフト
アップルが最新モデルiPhone14の製造を一部インドで開始することを明らかにした。インドの製造インフラは問題が山積しており、撤退した外国企業は少なくないといわれているが、アップルのこの動きは他の外国企業のインド投資の呼び水となる可能性があり、海外メディアでも注目の動きとなっている。これまでの報道によると、アップルは2017年にインドでのiPhone製造を開始したが、製造ラインナップは古いiPhoneモデルに限定されていた。先般、明らかになった情報によると、アップルの製造を請け負っているフォックスコンがインド・チェンナイ郊外の製造拠点でiPhone14の製造に着手するという。
インドで製造されたiPhone14はインド国内市場に加え、海外市場でも販売される見込みだ。
アップルがインドで最新モデルの製造を開始するにあたり、メディアやアナリストによるさまざまな分析が行われている。理由の1つとして指摘されているのが、インド国内市場の成長可能性だ。
CNBCが伝えたCounterpoint Researchの調査によると、2021年インドのスマホ市場におけるアップルのシェアは3.8%にとどまるものだった。日本におけるアップルのシェアは47%以上ともいわれており、これとは対象的な数字となっている。
Counterpoint Researchによると、インド国内では韓国サムスンや中国シャオミなどの低価格スマホのシェアが高く、全体的にみるとアップルは苦戦を強いられているようにみえる。一方、4万5,000インドルピー(約7万9,700円)以上の高額機種セグメントでは、iPhone13の売れ行きがよく、アップルは販売台数トップとなっている。
一方で、直近でiPhone14の販売不振が伝えられている。Digitimesによると、アップルのサプライチェーンパートナーはiPhone14 Plusの生産を40%も削減するよう命じられたという。これを挽回するうえでもインドの存在は欠かせない。
JPモルガンのアナリストらによると、2022年中にiPhone14製造全体の5%がインドにシフトされる見込み。また2025年には、最新モデルを含むiPhone製造全体の25%がインドに移管される可能性もあるという。
「世界の工場」としてのインドの可能性
直近数年のマクロ経済の数字を見ると、インドでは製造業分野での海外投資が増加傾向にあり、アップル以外にもインド国内での製造拡大を狙う外国企業は少なくないことが分かる。インド地元紙The Hinduが2022年7月28日に伝えたインド政府統計によると、2021~2022年の海外直接投資(FDI)は、848億3000万ドルとこれまでの最高値を更新。このうち、製造業分野では213億ドルが投じられたという。製造業分野のFDIは、前年の120億ドルから76%の増加を記録した。
対インドFDIの国別投資割合は、シンガポールが27%でトップ、これに米国(18%)、モーリシャス(16%)、オランダ(7.8%)、スイス(7.3%)が続く。
製造業の中で特に海外投資が活発なのが、自動車、化学、製薬など。
India Brand Equity Foundationがまとめた2000~2021年12月までの製造業FDIの分野別データによると、トップは自動車でその額は318億ドルに上る。これに製薬(192億ドル)、化学(191億ドル)、食品加工(109億ドル)、電子装置(105億ドル)が続く。
アップルの投資は「Electronics」に分類されると思われるが、同分野は32億ドルにとどまる。アップルの動きが呼び水となり、Electronics分野の投資は今後伸びてくるかもしれない。
【次ページ】インドの製造業をとりまく課題
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