• 2023/01/04 掲載

アングル:ドル高終えん、債券と新興市場は復活 23年市場予測

ロイター

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[3日 ロイター] - ドルが為替相場で君臨する状態はほぼ間違いなく終わり、債券が復活し、新興国市場が再び上昇するー─。資産運用大手は2023年の金融市場について、こうした展開を予想している。

高騰するインフレと、過去1年間に300回近く行われた中央銀行の利上げによる打撃で、経済がどれほど悪化し、米連邦準備理事会(FRB)など中銀が方向転換を迫られるかどうかが焦点だ。投資家が注目する5つの取引は以下の通り。

(1)王様ドルの終り

FRBが積極的に利上げしたため、ドル指数は2022年1―11月に15%余り上昇した。FRBはタカ派的な姿勢を崩していないが、市場はFRBの決意を試そうとしている。HSBCアセット・マネジメントのグローバル・チーフ・ストラテジスト、ジョー・リトル氏は「インフレがピークを付け、FRBが政策を転換する」との予想に基づき、ドル指数が今年は10%余り下落すると見込んでいる。

日銀が長期金利をゼロ近辺に抑え込む長短金利操作(イールドカーブ・コントロール)を突如修正し、年末に市場を驚かせたことから、円も市場を動かす要因になるかもしれない。

リーガル・アンド・ゼネラル・インベストメント・マネジメントの金利・インフレ戦略ヘッド、クリス・ジェフレー氏は「ドルに対抗する通貨を1つ選ばなければならないとしたら円だろう」と述べた。

(2)中国買い

投資家はこの数年不振が続いた中国株について、新型コロナウイルスを抑え込む「ゼロコロナ」政策の緩和と、経済成長および低迷する不動産市場へのテコ入れにより、回復に向かうと予想している。

コロナによる死者数が再び増加し、不透明感は残るが、経済再開への熱狂が存在するのは間違いなく、それはいずれアジアの資本市場とM&Aの活性化につながる。

MSCI中国指数は2022年11月から12月中旬にかけて40%近く上昇したが、さらに上値を追う可能性がある。BNPパリバは、旅行、国内消費、ハイテク関連株がさらに上昇すると見ており、23年のモデルポートフォリオで中国を「オーバーウェイト」に格上げした。このポートフォリオにはネットサービス大手の騰訊控股(テンセント)やオンライン旅行大手トリップ・ドット・コムなどの銘柄が含まれている。

(3)新興国市場の再出発

2022年に記録的な落ち込みとなった新興国市場については強気派が復活しつつあるとささやかれている。

UBSは、金利が世界的に安定し、中国がゼロコロナ政策を緩和し、核戦争が回避されることを前提に、23年に新興国市場の株式と債券の指数のトータルリターンがそれぞれ8─15%になると予想する。

強気派のモルガン・スタンレーは新興国市場の現地通貨建て債券のリターンが17%近くに達すると予想。クレディ・スイスは特に外貨建て債を選好し、「債券王」の異名を取るダブルラインのジェフリー・ガンドラック氏は新興国市場株を最有力候補に挙げる。

新興国市場は過去に、大きく下落した後で回復するという実績があり、こうした楽観的な見方を裏付けている。MSCI新興国市場株式指数はアジア金融危機後の1999年に64%上昇し、2009年には75%急騰した。新興国市場の外貨建て債も世界金融危機で12%下げた後、30%上昇して驚異的な反発力を見せた。

(4)債券へ回帰

2022年は債券投資家にとって過去最悪の年となったが、今年は好転を見込む声が多い。債券の宿敵であるインフレは、今年は不況の影響を受け始め、穏やかになりそうだ。

ロイターのエコノミスト調査によると、米国の消費者物価指数(CPI)の前年比上昇率は23年末までに3.1%に鈍化すると予想されている。アムンディ・インスティテュートの債券ストラテジスト、バレンタイン・アインズ氏は、10年物米国債の利回りが現在の3.88%近辺から23年末には3.5%に低下すると見込む。

ヴァン・ランショット・ケンペンのシニアストラテジスト、ヨースト・ファンリーンダース氏は22年8月に国債を買った。「経済成長が鈍化するためインフレ率は低下する」と予想したため。一方、欧州中央銀行(ECB)が金利を引き上げていることから、ユーロ圏の債券については警戒を解いていない。

(5)株は今売って後で買え

株式投資家は世界経済が2023年に「V字回復」し、株価が順調に上昇すると期待している。

JP モルガンのストラテジストチームは23年の株式市場について、まず「市場の混乱と経済の落ち込み」があり、その後FRBがついに転換(ピボット)することで後半改善すると予測している。

パインブリッジ・インベストメンツのポートフォリオマネジャー、ハニ・レダ氏は、米国株はさらにもう少し下落し、23年前半に底を打つと見込んでいる。

一方、ロイヤル・ロンドン・アセット・マネジメントのトレバー・グリーサム氏は、市場の回復にはもっと時間がかかるかもしれないとみている。「株式に買いを入れるのが1年先か、あるいはもっと後になっても驚きではない」という。

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