- 2023/01/05 掲載
日銀、生鮮食品・エネルギー除く物価見通しを引き上げへ=関係筋
日銀は17―18日に開く金融政策決定会合で「経済・物価情勢の展望」(展望リポート)を議論する。昨年10月の展望リポートでは、22年度のコアコアCPIの政策委員の見通し中央値は前年度比プラス1.8%、23年度と24年度はプラス1.6%。今回の見通しではいずれも引き上げられる公算が大きい。
原油先物価格が足元73ドル付近で推移するなど、ウクライナ侵攻後に急騰した資源価格の値動きは落ち着いているものの、国内景気が底堅く推移する中で企業の価格転嫁は今後も続き、消費者物価への上昇圧力が残るとの声が出ている。24年度のコアコアCPIは、賃上げの波及が予想されるとして小幅に上方修正されるとみられる。
コアコアCPIは生鮮食品を除く消費者物価指数(コアCPI)に比べ、エネルギーを除いた分だけより基調的な動きを示す。物価の基調を多角的に見極めるため、日銀は昨年4月の展望リポートから従来のコアCPIに加えてコアコアCPIの見通しも展望リポートに掲載してきた。
今回の展望リポートでは、コアCPIの見通しも引き上げられる見通しだが、政府のエネルギー抑制策の影響で、コアCPIの数字からは物価の基調を捉えづらいとの指摘が日銀では出ている。
10月の展望リポートではコアCPIの見通しが22年度がプラス2.9%となる一方、23年度、24年度はともにプラス1.6%だった。政府の対策が22年度、23年度のコアCPIには重しとなる一方、政策要因がなくなる24年度はコアCPIが上昇率を高め、2%を上回る可能性がある。日銀内では、技術的な要因でコアCPIが2%を超えても、持続的・安定的な2%目標の達成とは言えないとの声が聞かれる。
日銀では、米国経済を中心に海外経済の下振れリスクへの警戒感が根強い。春闘の結果、持続的な賃上げが展望できるようになるのか見極めが必要だとの声もあり、金融緩和の修正には慎重な意見が出ている。
(和田崇彦、木原麗花 編集:久保信博)
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