- 2023/01/25 掲載
総括判断11カ月ぶり引き下げ、輸出を下方修正=1月月例経済報告
[東京 25日 ロイター] - 政府は25日に公表した1月の月例経済報告で、景気の総括判断を「このところ一部に弱さがみられるものの、緩やかに持ち直している」とし、昨年12月の「緩やかに持ち直している」から引き下げた。総括判断の引き下げは昨年2月以来、11カ月ぶり。
アジア向けの輸出が減少傾向になっていることを踏まえ、輸出の判断を14カ月ぶりに引き下げた。後藤茂之経済再生相は月例経済報告に関する閣僚会議後の会見で、中国での新型コロナウイルス感染拡大の影響長期化による下振れリスクに留意する必要があると警戒感を示した。
後藤再生相は、景気の総括判断引き下げは中国経済の弱さなどにより、アジア向け中心に輸出が弱含んでいることを踏まえたものだと説明した。「中国での今後の感染動向については不透明感もあり、消費や生産等が回復するには一定の期間を要する可能性もある」と話した。
輸出の判断は12月の「おおむね横ばいとなっている」から「このところ弱含んでいる」に修正した。世界経済の判断を2カ月連続で引き下げ、「一部の地域において弱さがみられるものの、緩やかな持ち直しが続いている」とした。12月は「一部の地域において足踏みがみられるものの、緩やかな持ち直しが続いている」としていた。
輸入の判断も「おおむね横ばいとなっている」から「このところ弱含んでいる」に下方修正。下方修正は昨年10月以来、3カ月ぶり。アジアや米国からの輸出数量減を反映した。中国で感染が拡大し、同国の生産の伸びが減少している影響が大きい。
倒産件数も「おおむね横ばいとなっている」から「低い水準ではあるものの、このところ増加がみられている」と弱めの表現に変更された。
内閣府の担当者によると、会議に出席した黒田東彦日銀総裁は、昨年12月に決めたイールドカーブ・コントロール(YCC)の運用の一部見直しなどにより金融緩和の効果が企業金融などを通じてより円滑に波及していくと説明。「引き続き緩和的な金融環境をしっかりと維持していきたい」と話したという。
月例経済報告に関する関係閣僚会議の資料では、政府の総合経済対策の効果について、消費者物価指数(コア、全国旅行支援の影響除く)の前年比伸び率を1.0%ポイント引き下げるとの試算が示された。
※〔表〕月例経済報告の景気判断の推移[L4N3490R6]
(和田崇彦)
PR
PR
PR