- 2023/02/06 掲載
日産とルノー、提携関係見直しできょう会見 「日仏連合」転換点
関係筋によると、ルノーは5日に開いた取締役会で提携見直し計画を決議した。日産も6日の会見前までに取締役会で決議する。知的財産の扱いなどの懸念が解消されたことなどから、日産取締役の大半が同案に賛成する見通しで、同案は承認される公算が大きい。
両社は対等な出資関係になることを示すため、それぞれ本社のある日本やフランスではなく、第3国の英国で会見に臨む。会見には、ルノーのジャンドミニク・スナール会長とルカ・デメオ最高経営責任者(CEO)、日産の内田誠社長、両社と連合を組む三菱自動車の加藤隆雄社長ら3社の首脳陣が出席する。
昨年から交渉を続けてきた日産とルノーは1月30日に声明を出し、ルノーによる日産への出資比率を約43%から15%に引き下げ対等な出資にすること、ルノーが設立する電気自動車(EV)とソフトウエアの新会社(仮称:アンペア)に日産が「戦略的な株主」として出資すること、インド・中南米・欧州で新たな協業プロジェクトを推進することを明らかにした。会見では詳細を説明するものとみられる。
15%ずつ持ち合うことにする株式については、両社とも付随する議決権を自由に行使できるが、ルノーの日産株28.4%分はいったんフランスの信託会社に預け、信託分は大半の議案でルノーの議決権を無効にする。ルノーは今後、日産株を段階的に売却。売却までの間、ルノーが保有する経済的権利(配当金と売却代金)は維持される。
複数の関係者によると、実際にルノーが日産株を売却する際は、競合他社などに渡ることのないよう日産の承認が必要になることが合意案に盛り込まれる。日産の株価は3日の終値が463円と、ルノーが日産株の取得を初めて公表した1999年当時と同水準にとどまっている。ルノーは28.4%分を信託に預けた後、株価が一定の価格まで上昇した場合に売却を検討するとみられる。
EV新会社については、日産と三菱自が新会社にどの程度を出資して参画するかが注目される。複数の関係者によれば、日産の出資額は今後さらに詰める予定で、会見では三菱自も前向きに出資する意向を示す程度となる見込み。ルノーは23年下期の上場を目指している。
ルノーと日産は昨年10月、連合の強化に向けて「現在多岐にわたる議論を重ねている」などとする共同声明を発表。ルノーのEV新会社に日産が出資を検討していることや、連合の持続可能な運営やガバナンス(統治)の実現へ議論中であることを明らかにした。ルノーは当初、昨年中の合意を目指していたが、知財問題を中心に折り合いがつかず交渉は難航。その後、ルノーが大幅に譲歩した案を提示、平行線だった協議は今年に入り動き出した。
両社の関係は1999年、経営危機に陥った日産をルノーが救済するため約6000億円を出資することから始まった。元会長のカルロス・ゴーン被告が再建のため送り込まれ、工場閉鎖などリストラを断行。その後、協業は進んだが、今は事業規模で日産がルノーを上回り、持ち分法利益や配当金の形で日産がルノーの業績を支えている。
フランスの法律上、40%以上の出資を受ける子会社の日産は親会社ルノーの株式を保有していても議決権がない。このため日産社内では資本関係の不平等さに不満の声が高まっていた。
PR
PR
PR