- 2023/02/23 掲載
車大手、異例のスピード回答=物価高対応、中小への波及焦点―春闘
2023年春闘で、自動車大手のトヨタ自動車とホンダが22日、相次いで「満額回答」を発表した。各社の労働組合が要求書を提出して、わずか1週間という異例の「スピード決着」となった背景には、食料品や光熱費など、急速に進んだ物価高への対応表明を急ぎ、産業界全体の賃上げムードをリードする狙いがある。
ただ、原材料高に苦しむ中小の下請け企業に、どこまで波及するかは未知数だ。電動化やコネクテッドカー(つながる車)など「100年に1度」とされる変革期の自動車業界では、製造現場の人材確保も喫緊の課題となっている。
トヨタの佐藤恒治次期社長は、22日の第1回労使協議会に臨み、「自動車産業全体への分配を促す先頭に立つ」と表明。ホンダは「急激な物価上昇による生活への不安を取り除き、変革に向けた取り組みに集中できるようにする」と説明し、採用活動をにらんで初任給引き上げも決めた。
岸田文雄首相が「物価上昇を超える賃上げ」を呼び掛ける中、焦点となっているのが中小企業の賃上げ。自動車労組の上部団体に当たる自動車総連の金子晃浩会長は「(総連加盟の)7割が中小企業。全体で賃金を引き上げていかなくてはならない」と強調する。
実現に向けネックになるのが、原材料コストの上昇分を納入先の大企業に価格転嫁できるかどうかだ。公正取引委員会が昨年12月に発表した調査結果によると、下請け企業との間で協議しないまま取引価格を据え置いた企業として、業界ではデンソーと豊田自動織機が名指しされた。価格転嫁の取り組みはまだ途上にある。
【時事通信社】
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