- 2023/02/24 掲載
2月ロイター企業調査:黒田日銀、「41―60点」が半数近く 新体制は政策変更を
調査期間は2月8日から2月17日。発送社数は493、回答社数は238だった。
2013年3月の就任から10年間を経た黒田日銀に対して、評価点数(100点満点)をレンジで聞いたところ「41―60点」が46%と最も多く、続いて「61―80点」が35%となった。
点数を付けた理由を聞いたところ「低金利環境の継続」が53%と半数を超えたほか、景気回復支援(28%)、株高(21%)などを評価する声が多かった。「黒田総裁でなかったら日本経済はどん底に陥った」(不動産)、「政府と同一歩調で金融緩和を行い、一定の経済下支えの成果があった」(卸売)という。
一方で、昨年企業を苦しめた「過度な円安進行」(29%)、目標として掲げた「2%の物価安定目標の未実現」(26%)などを挙げる企業もあった。「低金利政策を継続したことで、かえって日本企業の競争力が落ちた可能性がある」(化学)など長引く低金利政策の悪影響を指摘する声があったほか、「中央銀行の政策運営に対し、過度に政治の介入を招いた責任がある」(小売)などの見方がある。
日銀の新体制に望む政策(複数回答)は「マイナス金利の修正」が47%、「2%の物価目標の変更」が28%と政策変更を期待する企業が多い。ただ「急激な金融政策の変更は企業にとっても、個人にとってもダメージが大きいと思われる。軟着陸を目指して欲しい」(情報サービス)と、政策変更の際にも慎重な対応が望まれている。また、異次元緩和が長期に及んだだけに「金融緩和の出口戦略の明確化」(精密機械)を求める声も出ている。
超低金利政策は企業にとっては居心地が良かった面もある。金融政策の正常化がマイナスになると答えた企業は28%で、プラスと答えた企業の3倍近くとなった。「コスト上昇の全てを価格に転嫁できない中、賃金上昇の圧力もあり、金利まで上がってしまうと三重苦になる」(機械)、「利上げになれば、円高になり、日本企業の国際競争力が再び低下する」(電機)など、円高の再来や調達コストの上昇が懸念されている。
一方で「将来的な日本経済活性化に向けて(正常化は)避けては通れない」(卸売)という冷静な声もあった。正常化はプラスでもマイナスでもないと回答した企業が62%を占めた。
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