- 2023/03/03 掲載
香港で点心債の発行急増、本土投資家の需要拡大
点心債は、交通銀行、中国農業銀行といった中国の銀行などが発行。リフィニティブのデータによると、年初から3月1日までの起債額は52億ドル(37件)と、前年同期の25億7000万ドル(34件)から急増している。
CSOPアセット・マネジメントの債券ポートフォリオマネジャー、Bruce Zhang氏は「投資家は本土市場以外に目を向けている。香港で追加の利回りが得られるためだ。同じ満期のオンショア債に対する利回りの上乗せ幅は15─35ベーシスポイント(bp)になるケースがある」と述べた。
オンショア人民元建て国債5年物の利回りが2.7%の水準にあるのに対し、オフショア人民元建て国債5年物の利回りは3%前後となっている。
中国民生銀行の香港支店は1月、2年物の環境債を利回り3.15%で20億元(2億9000万ドル)発行した。利回りは当初のガイダンスである3.6%前後を大幅に下回った。
香港は中国最大のオフショア人民元市場で、昨年の点心債発行は440億ドルと記録的な水準に達した。本土の投資家が債券相互取引「ボンドコネクト」を利用して点心債を購入していることが背景だ。ボンドコネクトでは2021年9月から本土の銀行・資産運用会社に香港での債券取引が認められた。
スタンダード・チャータード銀行の資本市場(大中華圏・北アジア)担当トップ、David Yim氏は「ボンドコネクトにより点心債を購入する本土の銀行の投資家が増えた。ボンドコネクト導入前は一部の投資家が市場にアクセスできなかった」と述べた。
上海清算所によると、本土の投資家は1月時点でボンドコネクトを通じて3610億元(522億9000万ドル)の点心債を保有。前年同月はわずか60億元だった。
華夏基金(香港)の債券ポートフォリオマネジャー、Xue Jiadi氏は、点心債の利回りが高い理由として、オフショア市場の流動性が相対的に低いことや米国の金利上昇を挙げた。ただオフショア市場の流動性改善で、今後は利回り格差が縮小する見通しという。
中国政府は人民元の国際化を目指しており、香港の点心債市場は拡大している。
PR
PR
PR