• 2023/03/04 掲載

賃上げ「どこまで応じられるか…」=進まぬ転嫁、深まる苦悩―自動車部品メーカー

時事通信社

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歴史的な物価高に見舞われる中での2023年春闘。賃上げは、従業員の生活防衛だけでなく、今後の人材確保のカギも握る。大手自動車メーカーは早々に「満額回答」を連発したが、下請け企業の様相は異なる。ある部品メーカー首脳は、価格転嫁が進まない現実に、「賃上げの必要性は分かるが、会社の今の実態を見るとどこまで応じられるか」と苦しい胸の内を明かした。

「半導体不足はいまだに尾を引いている。売り上げが想定通り伸びず、コストばかり上がっていく」。自動車向けのばねなどを製造するパイオラックスの島津幸彦社長は、自動車の減産に加え、鉄やプラスチックなどの材料費、輸送費、光熱費の上昇に頭を抱える。

苦境に配慮し、自動車メーカーの中には部品の値下げ要請を見送る動きも出ている。しかし、コストダウンを求めてくる声も根強く、同社はコストアップ分の10~15%しか価格転嫁できていない。島津社長は、価格転嫁の動きが鈍れば「サプライチェーン(供給網)が成り立たなくなる」と警鐘を鳴らす。

一方で、賃上げの必要性も痛感している。新卒や中途の採用に影響するほか、給料が上がらなければ「良い人材が会社から流出してしまうことにもつながる」ためだ。「(価格転嫁率を)いかに上げていくかが、賃上げ原資を確保する上で重要だ」と強調する。

背景にあるのは、「100年に1度」と言われる業界の環境変化。同社は電動化などに対応するため「e商品開発部」を新設したほか、生き残りをかけて海外メーカーとの取引も強化した。島津社長は「足元の経営環境が厳しくても、将来への投資をやめるわけにはいかない」と語った。

帝国データバンクによる1月の調査で、23年度に賃金改善を見込む企業は56.5%に上った。高まる賃上げムードとは裏腹に、苦悩を深める企業も少なくない。

【時事通信社】 〔写真説明〕取材に応じるパイオラックスの島津幸彦社長=1日午前、横浜市

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