- 2023/03/04 掲載
NY市場サマリー(3日)ドル軟調、利回り低下 株は大幅高
アナリストによると、最近の強い米国経済指標を受け、市場は米連邦準備理事会(FRB)のターミナルレート(利上げの最終到達点)上昇をすでにほぼ織り込んだ。
ドル指数は0.3%安の104.60。週間では0.5%安と、1月15日の週以来最大の下落幅を記録する基調にある。
日米長期金利差に敏感な円は、米10年債利回りが約4カ月ぶり高水準となる4.1%付近から後退していることを背景に、対ドルでの6週続落を止める基調にある。
ドル/円は0.4%安の136.26円だった。2日には昨年12月20日以来の高値となる137.10円まで上昇していた。週間では0.4%安と、1月中旬以来の下落幅を記録した。
ロイター調査によると、最近のドル高は一時的なものである可能性が高く、世界経済が改善しFRBが欧州中央銀行(ECB)よりかなり先に利上げを停止するという予想から、年内にはドル安が進むとアナリストはみている。
ユーロは0.3%高の1.0628ドル。
ポンドは0.7%高の1.2032ドル。週間では1月20日以来の大幅上昇となる0.4%高となる見込み。
暗号資産(仮想通貨)は、米金融持ち株会社シルバーゲート・キャピタルを巡る懸念を受けて下落。
ビットコインは、一時2週間半ぶりの安値となる2万2000ドルを付けた。終盤は4.9%安の2万2306ドルだった。
イーサは5.4%安の1559ドル。一時、2月中旬以来の安値となる1543.60ドルを付ける場面があった。
<債券> 国債利回りが低下した。利回りは今週大きく上昇していたが、前日に連邦準備理事会(FRB)当局者が経済指標が予想以上に力強いのは一時的な現象なのか見極める必要があると指摘したことを受け、利回りの上昇は一服した。
今週は堅調な米国の経済指標と欧州のインフレ上昇を背景に主要中央銀行は想定以上の利上げを行う必要があるとの観測が高まり、国債利回りが急上昇。米10年債利回りと30年債利回りが共に昨年11月以来初めて4%台に乗せたほか、2年債利回りは2007年以来の高水準を付けた。
FRB当局者は前日、インフレ、雇用、消費支出に関する想定外に強い最近の指標が一時的な現象なのか、さらに高い水準に利上げする必要性を示すものかについて、見極めが重要との認識を示した。
この日発表の経済指標では、米供給管理協会(ISM)の2月の非製造業総合指数(NMI)が55.1と1月の55.2からわずかに低下した。ただ、米経済の3分の2超を占めるサービス業の拡大を示す50を上回ったほか、新規受注と雇用が1年超ぶりの高水準となった。
10年債利回りは10.6ベーシスポイント(bp)低下の3.967%。2年債利回りは4.1bp低下の4.863%。
2年債と10年債の利回り格差はマイナス89.8bp。景気後退のサインとされる「逆イールド」は解消していない。
今週はFRBが21─22日の連邦公開市場委員会(FOMC)で利上げ幅を0.50%に再び拡大させるとの観測が台頭。ただ利上げ幅は0.25%にとどまるとの見方が大勢となっている。
来週はパウエルFRB議長が7日と8日に行う議会証言のほか、10日に労働省が発表する雇用統計が注目されている。
<株式> 大幅高で取引を終えた。米経済指標を受けて米連邦準備理事会(FRB)が制約的な政策を予想以上に長期的に維持するとの見方が後退したほか、米債利回りの低下が追い風になった。
主要3株価指数全てが1%超上昇。金利に敏感な大手ハイテク株が買われ、ハイテク株の比率が高いナスダック総合が2%近く上昇した。FRB当局者の発言を受け、インフレや金利を巡る懸念が和らいだことにより、米債利回りが低下した。
週間では3指数とも上昇。S&P総合500種が4週間ぶりの上昇となったほか、ダウ工業株30種は週間で1月下旬以来の上げとなった。
またS&P500は50日移動平均線および200日移動平均線というテクニカル面で注目されている水準を突破した。
米供給管理協会(ISM)が3日発表した2月の非製造業総合指数(NMI)は55.1と1月の55.2からわずかに低下した。ただ、米経済の3分の2超を占めるサービス業の拡大を示す50を上回ったほか、経済全体の長期的な成長期の水準とされる49.9も大きく上回った。新規受注と雇用が1年超ぶりの高水準となった。
S&P主要11セクターは全て上昇。情報技術および一般消費財が最大の上げを記録した。
企業決算では7社を除くS&P500構成銘柄全てが発表済み。リフィニティブによると、第4・四半期決算でコンセンサス予想を上回った割合は68%という。
ただ、アナリストによるとS&P500構成銘柄の第4・四半期利益は前年同期比で3.2%減少する見込み。2023年の第1─第2・四半期も前年同期比で減益が予想されるという。
個別銘柄では、米アップルが3.5%上昇。同社株価が今年20%以上上昇する可能性があるとのモルガン・スタンレーの強気の見方が追い風となった。
米半導体大手ブロードコムは5.7%高。市場予想を上回る第2・四半期(2─4月期)売上高見通しを示したことが好感された。
一方、米会員制倉庫型ストアのコストコ・ホールセールは2.1%安。2日発表した第2・四半期(2022年12月─23年2月)決算は、売上高が市場予想を下回った。
米半導体会社マーベル・テクノロジーは4.7%安。予想未達の四半期利益と失望的な収益見通しを受けた。
<金先物> 米金利やドル指数の上昇一服を手掛かりとした買いに反発した。中心限月4月物の清算値(終値に相当)は前日比14.10ドル(0.77%)高の1オンス=1854.60ドル。週間では2.06%上昇し、5週ぶりにプラスに転じた。
前日発表された堅調な米雇用関連指標をきっかけとした米金利やドル指数の上昇が一服。これが金の買い材料となり、相場は朝方にかけてジリ高で推移した。米サプライ管理協会(ISM)が午前に発表した2月のサービス業購買担当者景況指数 (PMI)は55.1と、市場予想を上回る良好な内容。景気の底堅さが確認されたとして、金は一時10ドル近く上げ幅を縮小した。しかし、この日は中国のサービス業PMIも6カ月ぶりの高水準を記録。新型コロナウイルス感染対策の緩和を機に急速に景気が上向いており、同国の金需要増加期待が支えとなって相場はあと持ち直した。
<米原油先物> 4日続伸。アラブ首長国連邦(UAE)が石油輸出国機構(OPEC)脱退を検討しているとの報道を受け不安定な値動きとなったものの、終盤にかけて買いが優勢となった。米国産標準油種WTI中心限月4月物の清算値(終値に相当)は前日比1.52ドル(1.94%)高の1バレル=79.68ドル。週間ベースでは4.40%上昇した。5月物は1.48ドル高の79.79ドルだった。
米紙ウォール・ストリート・ジャーナル(電子版)は3日、内戦が続くイエメン情勢への対応などを巡り、サウジアラビアとの対立が深まっているUAEが、OPECからの脱退を検討していると報道。有力産油国のUAEが脱退すれば、単独で増産に踏み切るとの観測が広がったため、相場は一時75ドル台後半に大幅に下落した。ただ、その後にロイター通信が、「真実とは程遠い」との関係筋の反応を伝えると急速に買い戻された。
また、徹底的に新型コロナウイルス感染拡大を封じ込める「ゼロコロナ」対策を緩和した中国の経済活動回復に伴い、エネルギー需要が拡大するとの期待感も相場を支えた。
ドル/円 NY終値 135.86/135.89
始値 136.05
高値 136.44
安値 135.75
ユーロ/ドル NY終値 1.0632/1.0636
始値 1.0613
高値 1.0638
安値 1.0588
米東部時間
30年債(指標銘柄) 17時03分 95*17.50 3.8776%
前営業日終値 93*04.50 4.0210%
10年債(指標銘柄) 17時05分 96*08.50 3.9576%
前営業日終値 95*11.00 4.0730%
5年債(指標銘柄) 17時05分 98*28.50 4.2492%
前営業日終値 98*18.00 4.3230%
2年債(指標銘柄) 17時05分 99*17.88 4.8606%
前営業日終値 99*15.25 4.9040%
終値 前日比 %
ダウ工業株30種 33390.97 +387.40 +1.17
前営業日終値 33003.57
ナスダック総合 11689.01 +226.02 +1.97
前営業日終値 11462.98
S&P総合500種 4045.64 +64.29 +1.61
前営業日終値 3981.35
COMEX金 4月限 1854.6 +14.1
前営業日終値 1840.5
COMEX銀 5月限 2123.8 +33.7
前営業日終値 2090.1
北海ブレント 5月限 85.83 +1.08
前営業日終値 84.75
米WTI先物 4月限 79.68 +1.52
前営業日終値 78.16
CRB商品指数 275.0535 +3.7511
前営業日終値 271.3024
関連コンテンツ
PR
PR
PR