• 2023/03/06 掲載

インタビュー:22年度円債購入は計画下回る見通し、金利上昇を待つ=明治安田生命

ロイター

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植竹知子

[東京 6日 ロイター] - 明治安田生命保険の大崎能正・執行役員運用企画部長は、ロイターとのインタビューに応じ、2022年度の日本国債の買い入れに関して、円債金利が期待ほど上昇していないとして、当初計画を下回るとの見通しを示した。金利上昇を辛抱強く待つ姿勢だという。

一方、為替ヘッジ付き外債の売却を進めており、来年度の買い場に備えた投資資金とする考えだ。

インタビューは3日夕方に実施した。主なやり取りは以下の通り。

──年度末が近付く中、ここまでの運用状況は。

「下期は、(全般的な)金利の上昇やドルのヘッジコスト高止まりは予測通りだが、円金利が思ったほど上がっていない。日銀による12月の長期金利の許容レンジ拡大でイールドカーブは動いたが、日銀が金利を無理矢理抑えている状況は変わらない。超長期債は我々が積極的に買いたい利回り水準には到達しなかった」

「元々は上期4割、下期6割のペース配分で超長期中心に円債を購入して金利リスクを削減する計画だったが、今のところ投資抑制気味にきているので、恐らくそこまでは買わない、買えない状況で年度末を迎えそうだ」

「下期はまとまった金額のヘッジ外債を売却した。ヘッジコスト控除後利回りがマイナスのものが中心で、当初の想定よりも低利回り銘柄を売ったイメージ。その分は次年度でどこか買い場が来る時に投資に余裕が持てる資金となる。その他の資産は、多少融資が増えた以外は、概ね想定通りだ」

──日本証券業協会によると、生損保は1月に超長期債を大きく売り越した。

「われわれは超長期債は売ってない」

──今週の黒田東彦総裁の任期中最後となる日銀会合で「ラストサプライズ」を警戒する声もある。

「何かやるとしても後始末も考えてのことであり、いきなり金融緩和撤廃とか混乱を招くことはしないだろう。一応警戒はするが、それを最後の買い場にしようと虎視眈々と待つ状況ではない」

──次期日銀の政策運営に対する見通しや期待は。

「(植田和男氏は)データを非常に重視すると聞いており、サプライズはしないとの期待を持っている。決定会合の時に突然動くのではなく、それまでに市場と対話をして結末が分かる形で金融政策を進めるのではないかと思う」

「日本の場合、本来5%であるべき長期金利を0.5%に抑えているわけではない。たとえマーケットが混乱しても、金利はあるべき水準に落ち着くはず。であれば、政策修正はサプライズで行う必要はなく、マーケットと対話する方が賢明ではないか。植田氏がそういう選択をされることを願う」

「YCCはある程度いじるとみており、金利は10年より長いところが少しずつ上がって行く見通しを持っている。その先は会社全体で決めた予想シナリオはないが、個人的には23年度中にはマイナス金利解除はできないのではないかとの見方をしている。時期としては、新体制に移行して早々ではなく、半年とか一定程度経ってから動くイメージだ」

──23年度の運用計画の方向性は。

「マクロ環境の見通しとしては、米国はいずれ景気後退に陥り、金利が下がる一方、日本はどこかで金融緩和解除に向かうとみて、為替は若干円高方向を予想している。ただ、米金利見通しについては、インフレなど今後出てくるデータ次第だ」

「運用方針は、金利の水準次第だが、焦って円債を買うことはしない。いつかは(日銀の)金融緩和が解除されると考えており、円金利が今の水準のままなら上期も購入ペースを落とすかもしれない。(25年導入の)規制対応の観点でも今は金利リスク削減が必要な状況ではなく、できる限り辛抱したい。為替水準によっては海外ものへの投資も考える」

「必要最低限(の量)については今の金利水準でも円債を買うが、ヘッジ外債から円債への回帰という大きな流れにはまだならない。それは金融緩和の修正がはっきりしてからだと、現時点では思っている」

「円債投資に積極的に動き出せる金利水準としては、30年金利で今期つけた1.6─1.7%のレベルをちゃんと上回る水準。柔らかい言い方では2%が1つの目安になるが、数字を決めているというよりも正しいイールドカーブになれば、という感じだ」

「ヘッジコストの高止まりでヘッジ外債は買わない予定なので、オープン外債を為替と価格を見ながら、将来のために4%超の高クーポンの外債をどの程度ポートフォリオに入れていけるかが来年度前半のテーマになる。円債を買わない分をオープン外債に回すというより、オープン外債はオープン外債として魅力的な買い場を探り、積み増す方針だ」

「来年度も難しい年となるが、急がず焦らず投資をしていきたい。日米の金融政策によって色々変わると思うので、日銀の金融政策と米国のインフレ動向を見極めながら慎重に運用したい」

(インタビュアー:植竹知子 編集:伊賀大記)

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