- 2023/03/06 掲載
接客のプロから「伝道師」に=美容部員、変わる役割
百貨店などで顧客の肌に直接触れて、最適な化粧品を提案する「美容部員」の働き方が変わりつつある。新型コロナウイルス禍で「非接触」の需要が増し、インターネット交流サイト(SNS)を通じて美容情報を発信するインフルエンサーも台頭する中、「店頭接客のプロ」からデジタル対応もこなす「伝道師」へと役割も変化している。
「オンラインとオフラインの垣根を越え、ブランドを体現する『伝道師』に」。花王は2025年までに、約5500人の美容部員が店舗とオンラインの両方で接客できるよう育成する計画だ。動画配信もできる共通端末を約1250の店頭カウンターに段階的に導入。接客だけでなく情報発信も促し、強いブランドづくりにつなげる。
約7000人の美容部員を顧客の「パートナー」に位置付ける資生堂。昨年10月から画一的な制服をやめ、ジャケットやワンピースなど規定のアイテムと私服を自由に組み合わせられるようにした。美容部員の個性を生かし顧客との長期的な関係構築を重視する戦略で、資生堂ジャパン(東京)の横田由香役員兼美容戦略部長は「顧客との会話も広がる。ベストな提案ができれば」と話す。
働き方の改革も進む。ファンケルは店舗が混雑する時間帯に人手を増やすなど柔軟なシフト勤務を用意。「長く働き続けられるよう多様性のある働き方を提供している」(広報)という。コーセーの主力ブランド「コスメデコルテ」では30人程度がオンライン接客専任として勤務。このうち、顧客とメッセージをやりとりして相談を受けるチャット担当の日は在宅勤務が可能で、子育てなどとの両立をしやすくしている。
【時事通信社】 〔写真説明〕オンライン配信の実演で商品を提案する花王の美容部員=2022年12月、東京都中央区 〔写真説明〕私服とも組み合わせられる資生堂美容部員のコスチューム(同社提供)
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