• 2023/04/11 掲載

円滑な緩和「出口」課題=問われる市場との対話―植田日銀総裁

時事通信社

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日銀総裁に戦後初の学者出身となる植田和男氏が就任した。黒田東彦前総裁が10年にわたって推進した大規模な金融緩和を引き継ぐ植田新総裁にとって、国民生活への影響を抑えて正常化を図る「出口戦略」が最大の課題となる。ただ、欧米ではインフレを抑えるために実施した急速な利上げを受け、金融不安が表面化。円滑な政策修正には市場との対話も重要となる。

「前体制からの大規模緩和を現状では継続する」。植田氏は10日の就任記者会見で、早期の金融引き締めに慎重な考えを表明した。2%の物価目標を明記した政府との共同声明についても、会見前に岸田文雄首相と会談し、今のところ見直しは不要との認識で一致。当面は黒田氏の緩和路線を踏襲する構えを示した。

しかし、市場では植田新体制の発足直後の4~6月にも政策修正に踏み切るとの観測もくすぶる。特に10年物国債の利回りを0%程度に抑え込む長期金利操作は債券市場の機能低下を招いており、早期の見直し論が根強い。植田氏も現在の緩和の枠組みに関し、「副作用はあると考えている」と認める。黒田日銀の下で581兆円にまで膨張した保有国債の処理も重い課題となる。

政府が植田氏を総裁に起用したのは「内外の市場関係者に対する質の高い(情報)発信・受信力」(首相)への期待だ。市場と意思疎通できなければ、今年1月のように、海外投資家らによる国債の投機売りが再燃するリスクがある。

また、安倍政権など政府と蜜月関係にあった黒田氏が日銀を去り、政治との良好な関係を構築できるかも課題だ。金融引き締めで長期金利が上昇すれば、国債の利払い負担が増すなど、政府と利害が対立する場面も想定される。

【時事通信社】 〔写真説明〕就任記者会見に臨んだ植田和男日銀総裁=10日夜、東京・日本橋本石町の日銀本店(代表撮影)

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