- 2023/04/14 掲載
主幹事の「優越的地位」にくぎ=IPO巡り改善促す―公取委
公正取引委員会が新規株式公開(IPO)の主幹事業務を巡り、みずほ証券に初の「注意」を出した。幹事証券が公開価格を低く設定するケースは以前から指摘されており、「優越的地位の乱用」につながる恐れがあるとくぎを刺した形。行政処分ではないのに社名を公表するのも異例で、業界全体に改善を促す狙いがあるとみられる。
IPOの予定企業は、新規発行株式などを公開価格で投資家に販売し資金を調達する。公開価格は、主幹事が市場調査や企業と調整の上、設定され、上場初日に大幅に上回る「初値」が付けば、株を取得していた投資家は利益を得られる。
一方、公開価格が過度に低く設定されれば、企業側の調達額が抑えられ、成長も阻害されかねない。このため、公取委は昨年1月、こうした行為が独禁法違反に当たる恐れがあるとの見解を発表。日本証券業協会は同7月、価格設定に関し、幹事社は企業側に「納得感ある説明」を行うなどのルールを施行した。
業界関係者は「証券会社は投資家と株式を発行する企業との調整役を担う。双方を納得させビジネスを成り立たせる難しさがある」と指摘する。みずほ証の広報担当者は注意を真摯(しんし)に受け止めるとした上で、「IPO企業と丁寧に意思疎通を図っていく必要がある」との認識を示した。
【時事通信社】 〔写真説明〕公正取引委員会=東京都千代田区
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