• 2023/04/14 掲載

世界経済の厳しい不況、ベースライン見通しではない=植田日銀総裁

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[ワシントン/東京 14日 ロイター] - 日銀の植田和男総裁は日本時間14日午前、米ワシントンで行われた20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議閉幕後の記者会見で、日銀は世界経済がある程度減速することを念頭に置いて見通しを立てているが「厳しい不況になるというところまでがベースラインの見通しではない」と述べた。世界経済は減速後、インフレ率の落ち着きとともに回復していくというのがベースの見通しで、そのもとでは国内の賃金も引き続き上がっていく可能性があると述べた。

国際通貨基金(IMF)は11日に改定した世界経済見通し(WEO)で2023年の世界経済の実質成長率を2.8%とし、1月の前回見通しから0.1%ポイント下方修正した。金融システムの混乱が深刻化すれば生産活動が景気後退に近い水準まで落ち込むおそれがあると警告した。

植田総裁はG20会合で、日本の消費者物価指数(除く生鮮食品、コアCPI)の前年比伸び率は今年度後半に向けて2%以下に下がる見通しであり、「2%のインフレ目標を持続的・安定的に達成するためには現在の金融緩和を維持する姿勢だ」と説明したという。

今回のG20では成果文書が出されなかった。金融不安の鎮静化に向けてメッセージを出すことが必要だったのではないかとの質問に対し、植田総裁は「(欧米の金融不安で)いったん荒れた市場が沈静化している状況というのは(出席者は)みな(認識を)持っていたと思う」と答えた。その上で、SNSなどによる情報拡散の問題やバーゼル3の適用状況は「少し時間を掛けて検証し、次の動きを考えていこうという段階にある」と述べた。

9日に就任したばかりの植田総裁は今回の米国出張が初の国際舞台となった。海外当局者との関係構築は「ある程度の成果を得られた」と述べた。4月の金融政策決定会合については「日本に帰国してからゆっくり考えて臨みたい」と話した。

<ロシアを非難>

鈴木俊一財務相は共同会見で、G20における世界経済の議論で「ロシアの侵略戦争によって世界経済が引き続き困難に直面していることを指摘し、ロシアをもっとも強い言葉で非難するとともに、一刻も早い侵略停止を求めた」ことを明らかにした。

また、金融システムの安定について「ノンバンクセクターや国境を越えた波及効果も含め、一層警戒感をもって注視することや、SNSによる情報の急速な拡散など、金融市場を取り巻く環境変化も踏まえ、金融システムのさらなる強化に向けた議論が必要であることを指摘した」とも語った。

G20で共同声明が発出されなかったことについては、議長国インドの判断と断ったうえで「2月のG20で合意した取り組みの進捗状況を確認することが主な目的で、議長国インドも、もともと共同声明の発出を予定していなかったと聞いている」とした。

そのうえで「成果文書を出すことが目的ではなく、重要なのは関係者が一堂に会して十分な、有意義な議論をするということが求められている」とし、「3月に起こった一連の金融危機などについても十分な議論が行われて、今回の会合の意義というものは、そうした問題のアップデートも含めて有意義に行われた」と強調した。

鈴木財務相は「G20が機能不全に陥っているとは考えていない」との考えも述べた。

会見では、スリランカ債権国会合に関し「中国も大きな債権国。参加いただいて同等性の立場で、債権・債務データを透明化して、協議をして決めていくことがあるべき姿」との認識も語った。

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