- 2023/06/16 掲載
ECB理事会後のラガルド総裁発言要旨
[フランクフルト 15日 ロイター] - 欧州中央銀行(ECB)は15日の理事会で、政策金利を予想通り0.25%ポイント引き上げた。利上げは8会合連続で、インフレ抑制へ一段の引き締めを示唆した。
理事会後のラガルド総裁の記者会見での発言は以下の通り。
<賃金・物価スパイラルは発生せず>
波及的な影響は見られていない。賃金・物価スパイラルは発生していない。インフレ率2%の達成は早ければ早いほど望ましい。ただ、現実的で慎重な対応が必要だ。
<インフレ率は十分に低下せず>
(インフレ)目標達成に向け、ECBは必要な限り制約的であり続ける。現在のパラメーターで2025年の(インフレ率が)2.2%というのは満足できるものではなく、タイムリーでもない。このため、今回のような決定を行った。
<一時停止は討議せず>
(利上げを)一時停止するべきか、もしくは(利上げを)見送るかという点については、全く議論しなかった。やるべきことはまだあるため、(利上げ停止を)検討し始めてもいない。
<幅広いコンセンサス>
極めて調和の取れた議論が行われた。極めて優れた、徹底的な経済的な討議だった。労働市場を深く分析し、インフレに対抗するためにその背後にあるものの理解を深めようとした。極めて幅広いコンセンサスを得ることができた。
<コアインフレ率改定値について>
多くは単位労働コストに起因している。これが改定幅の大きな部分を占めた。残りは過去の上方サプライズだ。
<労働市場>
労働市場の「謎」の全体像について引き続き監視し、精査し続ける。経済で大きな役割を果たしている多くのサービスは労働集約的であるため、賃金が主要な役割を果たしていることから、労働市場は重要は役割を果たしている。
<ターミナルレート>
ターミナルレート(政策金利の最終到達点)についてコメントするつもりはない。ターミナルレートは、そこにたどり着いて初めて判明するものだ。金融政策を動かしているのは、最終的に(インフレ率)2%の達成だ。
<インフレの上方リスク>
インフレの上方リスクには、ロシアによるウクライナ侵攻に関連したエネルギーと食料コスト上昇圧力が再び高まる可能性が含まれている。
インフレ期待が持続的に目標を上回ったり、賃金や利益率が予想以上に上昇したりすることも、中期的なインフレ上昇につながる可能性がある。多くの国でこのところ合意された賃金協定も、インフレ上昇リスクを高めている。
<7月の理事会での利上げの可能性>
(利上げの)旅路は終わっていない。まだ目的地に到達していない。まだやるべきことはある。ベースラインに重大な変化がない限り、7月も利上げを継続する可能性が極めて高い。ECBはタイムリーに目標を達成することを決意しているため、これは特に驚くべきことではない。
われわれは(利上げの)一時停止は検討していない。
<インフレ>
インフレは鈍化しているものの、過度に長い期間、高過ぎる状況となる見通し。
<成長リスク>
成長に対する下振れリスクには、ロシアのウクライナに対する不当な戦争や世界貿易を分断しかねない広範な地政学的緊張の高まりが含まれる。
<金融政策効果>
金融政策の効果が予想よりも強力であれば、成長も鈍化する可能性がある。
<高収益>
一部のセクターの企業は、とりわけ需要が供給を上回っている場合、比較的高い利益を維持することが可能となった。
<指標を注視>
長期インフレ期待指標の大半は現在2%前後で推移しているが、一部の指標は高止まりしており、注意深く監視する必要がある。
<経済見通し>
経済成長とインフレの見通しは依然として極めて不透明だ。
<経済の不均衡>
経済の各部門の状況は不均衡だ。製造業は世界的な需要の低下とユーロ圏の資金調達条件の逼迫を一因に引き続き弱含みで推移しているが、サービスは依然として底堅い。
<賃金圧力>
賃金圧力はインフレの重要な要因になりつつある。
<経済の停滞>
ユーロ圏経済はここ数カ月停滞していた。
<弱い成長>
経済成長は短期的には弱いままだが、インフレ率が低下し、供給上の混乱が緩和し続けることにより、年内には強まるだろう。
関連コンテンツ
関連コンテンツ
PR
PR
PR