- 2023/06/17 掲載
NY市場サマリー(16日)円対ユーロで15年ぶり安値、株反落 利回り上昇
<為替> 円がユーロに対して15年ぶりの安値に急落した。日銀が欧州中央銀行(ECB)とは対照的に、超低金利政策を維持し、今年後半のインフレ率鈍化を予想したことを受けた。
日銀は15―16日に開いた金融政策決定会合で、金融政策の現状維持を全員一致で決めた。マイナス金利、10年物国債金利の誘導目標ゼロ%をいずれも維持し、10年物国債金利の変動幅もプラスマイナス0.5%で据え置いた。
この決定を受けて円は大きく下落し、15年ぶりの安値となる1ユーロ=155.22円を付けた。週間では過去3年間で最大の下落幅を記録する勢いとなった。終盤のユーロ/円は1.1%高の155.16円。
円は対ドルでも下落し、6カ月ぶりの安値を付けた。ドル/円は1.1%高の141.795円。
ユーロ/ドルは横ばいの1.0940ドル。15日には1%以上上昇していた。
英ポンドは0.4%高の1.2831ドル。トレーダーらは、イングランド銀行(英中銀)が来週、13会合連続で利上げを行うとの見方を強めている。
ドル指数は午後の取引で0.1%高の102.24。
米財務省は16日、半期に一度の外国為替報告書を発表した。「為替操作国」に認定された貿易相手国・地域はなかった。
これに対する市場の反応はほとんどなかった。
NY外為市場:[USD/J]
<債券> 利回りが上昇した。米連邦準備理事会(FRB)高官2人が年内利上げの拡大を示唆したことを受けた。
14日まで開催された米連邦公開市場委員会(FOMC)後初めてのコメントで、米リッチモンド地区連銀のバーキン総裁とFRBのウォラー理事は追加利上げを巡りタカ派的な考えを示した。
FRBのウォラー理事は、インフレ低下に向けた進展は遅く幾分の追加引き締めが必要となる可能性があるという認識を示した。
米リッチモンド地区連銀のバーキン総裁は、今後発表される指標でインフレ率の低下が示されなければ、さらなる利上げを容認する意向を示した。
10年債利回りは4.7ベーシスポイント(bp)上昇し3.775%となった。
30年債利回りは1bp上昇し3.859%だった。
CMEのフェドウオッチによると、市場は現在、7月FOMCで25bpの利上げが行われる確率を74.4%とみている。15日は67%だった。
2・10年債の利回り格差はマイナス95.6bp。
2年債利回りは7.9bp上昇の4.727%だった。
物価連動国債(TIPS)と通常の国債の利回り差で期待インフレを示すブレーク・イーブン・インフレ率(BEI)は、5年物が2.209%、10年物が2.23%だった。
米金融・債券市場:[US/BJ]
<株式> 反落。マイクロソフトの下げがS&P総合500種やナスダック総合を圧迫。さらに米連邦準備理事会(FRB)当局者の発言が、利上げサイクルが終わりに近づいているという楽観的な見方に冷水を浴びせた。
ウォラーFRB理事は「コアインフレは想定したほど低下していない」とし、「インフレ低下に向け、おそらくもう少し引き締める必要があるだろう」と語った。
リッチモンド地区連銀のバーキン総裁も、今後発表される指標でインフレ率の低下が示されなければ、さらなる利上げを容認する意向を示した。
ミシガン大学が16日発表した6月の消費者信頼感指数(速報値)は上昇し、4カ月ぶりの高水準に達した。1年先のインフレ期待は3.3%に低下し、2021年3月以来の低水準となった。
マイクロソフトは1.7%安、アマゾン・ドット・コムも1.3%安。
半導体エヌビディアは0.1%高。モルガン・スタンレーが目標株価を引き上げ、米半導体企業のトップピックに選んだことが材料視された。
S&P主要11セクターの8セクターが下げ、通信サービスは1%、情報技術は0.83%それぞれ下落した。
週足ではS&Pが2.6%高、ダウ工業株30種が1.2%高、ナスダックが3.2%高。S&Pは5週連続での上昇となった。
ソフトウェア会社アドビは0.9%高。第2・四半期決算は、生成人工知能(AI)機能を導入して需要を高める取り組みが奏功し、売上高と調整後1株利益が市場予想を上回った。好調な見通しも示した。
ロボット掃除機「ルンバ」を製造するアイロボットは21%急騰。英競争・市場庁(CMA)が、アマゾン・ドット・コムによるアイロボット買収を認可した。
一方、半導体大手マイクロン・テクノロジーは1.7%安。中国が先月、重要インフラ事業者に対しマイクロンからの調達を禁止したことを受け、世界的な収益に大きな打撃を受けると警告した。
週明け19日は奴隷解放記念日「ジューンティーンス」の祝日のため休場となる。
米国株式市場:[.NJP]
<金先物> 小幅続伸した。中心限月8月物の清算値(終値に相当)は前日比0.50ドル(0.03%)高の1オンス=1971.20ドル。金相場は週間で0.30%安となった。
米連邦準備制度理事会(FRB)が開いた連邦公開市場委員会(FOMC)や消費者物価指数(CPI)の発表など、今週の重要イベントを通過した後、この日は決め手となる材料に欠け、相場は狭いレンジでの商いにとどまった。週央のFOMC後に公表された政策金利見通しでは、年内のあと2回の利上げ予想が示された。一方で、インフレ指標が鈍化してきていることもあり、2回の利上げが行われる公算は小さいとの見方も一部では広がっており、相場を支えた。
NY貴金属:[GOL/XJ]
<米原油先物> 需給引き締まり観測の強まりを受けて続伸した。米国産標準油種WTIの中心限月7月物の清算値(終値に相当)は、前日比1.16ドル(1.64%)高の1バレル=71.78ドル。週間では2.29%上昇した。8月物は1.12ドル高の71.93ドルだった。
午前中は強弱材料が交錯し、71ドル近辺を方向感なく推移。中国の5月の原油処理量が過去2番目の高水準になったとの報が引き続き相場を支えた一方、欧米の中央銀行による金融引き締め継続方針が景気やエネルギー商品需要を冷やすとの懸念につながった。
午後に入ると、相場はじりじりと上昇。石油輸出国機構(OPEC)加盟国とロシアなど非加盟の産油国で構成する「OPECプラス」が今月4日、現行の協調減産の枠組み維持で合意した際、サウジアラビアが7月に単独で日量100万バレルの追加減産に踏み切ると発表したことに改めて注目が集まった。
NYMEXエネルギー:[CR/USJ]
ドル/円 NY終値 141.82/141.85
始値 140.92
高値 141.91
安値 140.82
ユーロ/ドル NY終値 1.0933/1.0937
始値 1.0943
高値 1.097
安値 1.0919
米東部時間
30年債(指標銘柄) 17時05分 95*31.00 3.8531%
前営業日終値 96*02.00 3.8480%
10年債(指標銘柄) 17時05分 96*25.00 3.7672%
前営業日終値 97*03.00 3.7280%
5年債(指標銘柄) 17時05分 98*12.50 3.9864%
前営業日終値 98*21.25 3.9240%
2年債(指標銘柄) 17時05分 99*04.25 4.7205%
前営業日終値 99*08.38 4.6480%
終値 前日比 %
ダウ工業株30種 34299.12 -108.94 -0.32
前営業日終値 34408.06
ナスダック総合 13689.57 -93.25 -0.68
前営業日終値 13782.82
S&P総合500種 4409.59 -16.25 -0.37
前営業日終値 4425.84
COMEX金 8月限 1971.2 +0.5
前営業日終値 1970.7
COMEX銀 7月限 2412.6 +17.9
前営業日終値 2394.7
北海ブレント 8月限 76.61 +0.94
前営業日終値 75.67
米WTI先物 7月限 71.78 +1.16
前営業日終値 70.62
CRB商品指数 270.9080 +3.9932
前営業日終値 266.9148
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