- 2023/06/29 掲載
NY市場サマリー(28日)S&P500・ダウ下落、ドル上昇、利回り低下
<為替> ューヨーク外為市場では主要通貨に対するドル指数が上昇した。欧州中央銀行(ECB)主催の国際金融会議「ECBフォーラム」の討論会で、米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長ら主要中銀の総裁らが根強いインフレの抑制に向け一段の政策引き締めが必要という認識を示したことが材料視された。
パウエル議長は、大半のFRB当局者が年内あと2回の利上げを見込んでいると述べ、次回7月の連邦公開市場委員会(FOMC)で追加利上げを実施する可能性を否定しなかった。
さらに、米インフレ率が今年または来年にFRBの目標である2%に回帰するとは予想しておらず、2%回帰は2025年以降になるとの見通しを示した。(Full Story)
CMEのフェドウォッチによると、7月会合での0.25%ポイント利上げの確率は81.8%と、前日の76.9%から上昇した。
シルバー・ゴールド・ブルのFX&貴金属リスク管理ディレクター、エリック・ブレガー氏は「大きな変化はない。いずれの総裁も直近の会合と同じ原稿を読んでいるに過ぎない」と述べた。
<債券> 米金融・債券市場では、米債利回りが低下した。重要な米インフレ指標の発表を週内に控える中、パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長などの中銀当局者は金融引き締め維持とのスタンスでほぼ一致したが、市場ではこれらの発言を疑問視する声が聞かれた。
米欧英の中銀総裁は28日、欧州中央銀行(ECB)が主催する国際金融会議「ECBフォーラム」の討論会で、根強いインフレの抑制に向け一段の政策引き締めが必要としつつも、深刻な景気後退を引き起こすことなく物価安定を達成できるという認識を改めて表明した。
パウエル議長は「政策は制約的だが、十分制約的ではないかもしれないし、十分長期にわたり制約的であったわけでもない」とし、追加利上げの可能性を示唆したほか、一連のFRBによる積極的な利上げを受け、米経済が景気後退に陥る可能性は「最も起こり得ない」シナリオという見解を示した。
米2年債利回りは4.6ベーシスポイント(bp)低下の4.718%。指標10年債利回りは5.6bp低下の3.712%となった。
マッコーリーのグローバル外為・金利ストラテジスト、ティエリー・ウィズマン氏は「パウエル氏の発言はタカ派的だが、利回りは市場関係者がパウエル氏の発言を信じているように動いていない」と指摘。パウエル氏がタカ派的な発言をしても、米国でディスインフレが発生する証拠が多く確認されているため「パウエル氏のタカ派発言は真剣に受け止められない」とした。
<株式> 米国株式市場では、S&P総合500種とダウ工業株30種が下落した。米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長が、米国のインフレ率の2%回帰は2025年以降になるとの見通しを示したことを受け、さらなる利上げ観測が浮上した。
パウエル議長は欧州中央銀行(ECB)が主催する国際金融会議「ECBフォーラム」の討論会に出席。次回7月の連邦公開市場委員会(FOMC)で追加利上げを実施する可能性を否定しなかった。
個別銘柄では、アップルが場中に最高値を付け、終値も2日連続で最高値を更新した。テスラやマイクロソフト、アルファベットも買いが優勢となり、S&P総合500種を押し上げた。
一方、エヌビディアは1.8%下落。米国が中国への人工知能(AI)向け半導体の輸出規制を導入する可能性があるとウォール・ストリート・ジャーナル紙が報道したことが嫌気された。
S&P総合500種の主要11セクター中4セクターが上昇。エネルギーは1%、通信サービスは0.8%、それぞれ上昇した。公益事業は1.5%安と下げが目立った。
FRBの年次健全性審査(ストレステスト)結果発表を控え、S&P銀行株指数は0.5%下落した。
<金先物> ニューヨーク商品取引所(COMEX)の金塊先物相場は、米追加利上げ観測の強まりを受けて売られ、小幅続落した。
米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長はこの日、ポルトガルで行われた欧州中央銀行(ECB)主催の会合に、日欧英の中央銀行トップとともに参加。米経済については、最近の堅調な経済指標を踏まえると「非常に強固だ」とした上で、現行の政策金利水準は「十分に景気抑制的ではないかもしれない」と述べた。
同議長の発言を受け、市場では7月の追加利上げを織り込む動きが拡大。外国為替市場ではドルがユーロなどに対して上昇し、海外投資家にとってドル建てで取引される金の割高感が増し、売りが出やすい地合いとなった。ただ、終盤はショートカバーなどが入り、前日引け水準近くまで下げ幅を縮めた。
<米原油先物> ニューヨーク商業取引所(NYMEX)の原油先物相場は、需給引き締まり観測が高まる中で買いが強まり、反発した。
米エネルギー情報局(EIA)が発表した週間石油在庫統計では、原油在庫が前週比960万バレル減と、市場予想(ロイター拡大版調査)の180万バレル減を大幅に上回る取り崩し幅となった。これを受けて、需給引き締まり観測が強まり、原油が買われた。
ただ、パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長が28日、欧州中央銀行(ECB)主催の会合で利上げについて、政策金利が「十分に景気抑制的ではないかもしれない」と述べ、追加の利上げに含みを持たせた。ラガルドECB総裁も7月に利上げを行う可能性が高いと発言。欧米の金融引き締め長期化によるエネルギー需要見通しに警戒感も広がり、もみ合いとなる場面も見られた。
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