- 2023/06/30 掲載
大手銀、脱炭素投融資にかじ=高まる「移行金融」ニーズ
大手銀行が取引先企業の脱炭素化を後押しする投資や融資を加速させている。2050年に温室効果ガスの排出量を実質ゼロにする目標の達成に向け、二酸化炭素を排出しない電気自動車や水素発電の普及が一気に進むわけではない。それまでの間、燃焼効率の高い石炭火力発電など、排出量を段階的に削減する設備投資を資金面で支える「移行金融」に注力する。
経済産業省によると、移行金融による企業の資金調達額は今年3月末で累計1兆円に到達した。ニーズが年々増している状況を踏まえ、三井住友フィナンシャルグループは5月、温暖化防止などに関連するサステナブル投融資について、20~29年度の10年間に実行する目標額を30兆円から50兆円に引き上げた。このうち、移行金融に関しては、融資の判断基準を示した指針を策定。まずは電力や石油など排出量の多い分野に絞って資金供給し、徐々に他業種へ広げていく。
サステナブル投融資の対象範囲が異なるため単純に比較できないが、みずほフィナンシャルグループは30年度までに計100兆円、三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)は同じ期間に35兆円の目標を掲げる。三菱UFJ銀行は、三菱商事などと脱炭素分野で国内最大規模のファンドを設立するなど、取り組みを加速させる。
29日開かれたMUFGなどの株主総会では、株主の環境団体が「パリ協定」の枠組みに沿った投融資計画を策定するよう提案した。否決されたものの、金融機関が脱炭素化にどう取り組むかは近年、環境団体や投資家から厳しい視線が注がれる。全国銀行協会の加藤勝彦会長(みずほ銀行頭取)は「顧客企業のカーボンニュートラルへの公正な移行を金融面から支えていくことが喫緊の課題だ」と話している。
【時事通信社】
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