- 2023/07/03 掲載
アングル:「JPXプライム150」は順調な船出、デリバティブなど課題
[東京 3日 ロイター] - 日本取引所グループ(JPX)の新指数「JPXプライム150」の算出が3日から開始され、寄り付きから上値を伸ばし順調な船出となった。ただ、現時点では他の株価指数と比べてパフォーマンスが優れているわけではない。先物などデリバティブ(派生商品)の生成も課題だ。
新指数は、プライム市場に上場する約1840社から選んだ150銘柄を「価値創造が推定される日本を代表する企業」として対象にしている。資本収益性と市場評価の2つの観点を重視しており、時価総額でトップのトヨタ自動車は基準を満たせず含まれなかった。
今年前半の東京市場では、東証による上場企業への経営改善要請がテーマとなり、バリュー株人気が株高に貢献してきた。東証の要請が日本企業の「底上げ」への寄与だとすれば、新指数は上位企業を「引き上げる」効果が見込めると、ニッセイ基礎研究所の井出真吾チーフ株式ストラテジストは指摘する。
ただ、指数のパフォーマンスはまだ、その注目度には追い付いていない。5月26日の基準値を1000ポイントとしており、きょうの終値までは6.8%高となった。しかし、同期間のTOPIXは8.1%高、日経平均は9.1%高だ。
今年の日本株高を主導した海外勢の関心は、これまでのところ高まってはいないようだ。「海外の顧客との会話ではほどんど話題になっていない」(外資系証券の営業担当者)という。
フィデリティ投信の井川智洋ヘッド・オブ・エンゲージメント兼ポートフォリオ・マネージャーは、「優良企業のシンボルとして、採用されることを上場企業が目指すようになるといったポジティブな効果は期待できるかもしれない」と指摘した上で、日本を代表する株価指数としてはTOPIXがあり「リスク特性が大きく乖離しているプライム150をいきなりベンチマークとして参照する投資家は少数派と考えられる」と話す。
今後、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)の運用商品として採用されるようなら、投資家の関心も高まりそうだが、そのためには先物などのデリバティブや投資信託、ETF(上場投資信託)など関連する金融商品を充実させる必要がある。
パフォーマンスも重要だ。「中長期で安定的にTOPIXを上回るようなら、投資家のニーズが高まる可能性はある」と、しんきんアセットマネジメント投信の藤原直樹シニアファンド・マネージャーは話している。
(平田紀之 編集:伊賀大記)
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