- 2023/07/10 掲載
景気判断、3地域で引き上げ 賃上げ「地場の中小企業に波及」=日銀
同日開催した支店長会議では、賃金について、人手不足感の強まりを反映した大企業の大幅な賃上げの動きやパートなどの賃金上昇を受けて、地場の中小企業などでも近年にない積極的な賃上げの動きが広がっていることが多く報告されたという。
9地域中、最も強い景気判断となったのは九州沖縄で「緩やかに回復している」とした。9地域中、「回復」の文言が入ったのは1地域のみ。新型コロナウイルス感染症の5類移行、アジア各国との直行便の再開に加え、大手半導体メーカーの進出で住宅投資も活発になった。
さくらリポートの需要項目別では、個人消費について、9地域中5地域が判断を引き上げた。支店長会議では、多くの地域から新型コロナウイルス感染症の5類への移行などで外食や旅行などサービス消費を中心にペントアップ需要が顕在化していることが報告されたという。
生産は東海が引き上げた一方、北海道は引き下げた。支店長会議では、海外経済の回復鈍化で電子部品や素材、資本財などでの生産調整が報告された一方で、自動車関連の生産が車載向け半導体の調達改善から緩やかに持ち直しているとの報告もあり「全体としてみると横ばい圏内」との判断が多かったという。
<値上げスタンスはまちまち>
さくらリポートに掲載された企業の声からは、価格設定の姿勢にばらつきがみられた。
原材料上昇分に加え、アルバイトの時給引き上げ分を主力商品の価格に転嫁したという名古屋支店管内の飲食業は、外食需要が高まっており「価格転嫁に対する来店客のネガティブな反応は特段みられていない」と指摘した。
一方、横浜支店管内の飲食業は、顧客離れを防ぐために商品ごとの値上げ幅に「メリハリをつけ、主力商品の値ごろ感は維持」し、今後の値上げは「顧客反応などを慎重に見極める」とした。
(和田崇彦)
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