- 2023/07/11 掲載
トヨタ副社長、水素コスト低減「欧州・中国で量稼ぎ、日本に反映」
水素を巡っては、日本が基本戦略を2017年に策定するなど先行していたが、その後、欧州や中国なども国家戦略を策定し、海外でも取り組みが本格化。トヨタが紹介した見通しによると、30年の水素の市場規模(使用量)は、日本が300万トン、中国が4000万トン、欧州が2500万トン。このうち、モビリティへの水素活用目標は、日本の8万トンに対し、中国が数百万トン、欧州が230万トンと大幅に日本を上回る。
急激な市場変化に対応するため7月に新設した水素事業組織「水素ファクトリー」の山形光正プレジデントは先週、中国に出向き状況を確認したと説明。中国での水素価格は「日本の約半額になっており、水素を使うほうが儲かるので長距離トラックが一気に(水素で走る)FCV(燃料電池車)化に動いてきている」などと述べ、日本でも水素を使う良さへの理解を深めたいとした。
さらに、まず水素を大量に使う地域で「たくさんの量をまとめて(コストを)安くしていくことに主眼を置き、一刻も早く持続性のある事業にしていくことが今の時点では優先すべき」と語った。
トヨタは乗用車のFCV「ミライ」の水素ユニットを使い燃料電池(FC)の外販を進めており、30年に年約10万台分を供給する予定。受注の大半が商用車だが、中嶋副社長は、トヨタのFCスタックの強みは「車のサイズに応じてセルの枚数を変えることができるスケーラブルなところ」と指摘。大型トラックから商用バン、乗用車まで「さまざまな車で展開できるよう準備している」と述べた。
また、「水素が大量消費される地域なら乗用車でもFCVが使いやすくなる」とも説明。日本では水素スタンドを安定稼働させるために大型トラック中心にしているだけで、「次のステップとして乗用車の展開も考えている」と話した。
山形氏も、燃費と耐久性が商用車では重要視されるが、乗用車では商用車ほど重視されないので「もっと出力側で(技術を)使えると開発しながら気づいた」といい、商用車はFCV、乗用車はEVと分けて考えず「パッケージとして良い形で技術を進化させる」と語った。
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