- 2023/07/28 掲載
NY市場サマリー(27日)円が対ドルで上昇、利回り2週間ぶり高水準 株下落
<為替> ドルが対ユーロで上昇した。 一連の米経済指標が予想を上回ったことで、インフレ対応のために利上げを継続してきた米連邦準備理事会(FRB)がハト派化するとの観測が後退した。
円は対ドルで0.77%高の139.14円。日経新聞電子版は、日銀が28日に開く金融政策決定会合で、長短金利操作(イールドカーブ・コントロール、YCC)の修正案を議論する方針と報道。長期金利操作の上限は0.5%で据え置くものの、市場動向に応じて超過を容認する案が浮上していると報じた。
日銀は超緩和的な政策スタンスを維持するとみられているが、政策に微調整を加える可能性は残っている。クレディ・スイス(ニューヨーク)のマクロ・ストラテジスト、アルビーズ・マリノ氏は「市場は日銀のタカ派的な動きを示す可能性に備えている」としている。
このところ好調な経済指標の発表が続いていることで、米経済は当面は景気後退(リセッション)入りを回避できるとの見方が強まっている。経済指標が全般的に好調な状況が続けば、FRBはインフレ抑制に向け一段の利上げに踏み切る可能性が高まる。
この日発表の米経済指標では、第2・四半期の実質国内総生産(GDP)速報値が年率換算で前期比2.4%増え、市場予想の1.8%増を上回ったほか、6月の耐久財受注統計では設備投資の先行指標となる航空機を除く非国防資本財(コア資本財)受注は予想外に増加。7月22日までの1週間の新規失業保険申請件数(季節調整済み)は前週から7000件減少し、2月以来の低水準となった。
主要6通貨に対するドル指数は0.692%高の101.790。
ユーロは対ドルで1.06%安の1.0965ドル。
ラボバンク(ロンドン)の外為戦略部門責任者、ジェーン・フォーリー氏は「ユーロ圏の経済指標が軟調な一方、米経済の回復力は増している」と指摘。米経済に回復力が出ていることで、ここ数週間見られていたドルの弱さが反転する可能性があるとの見方を示した。
今週は世界の主要中銀が相次いで政策決定会合を開催。FRBは前日までの2日間の日程で開いた連邦公開市場委員会(FOMC)で0.25%ポイントの利上げを決定。これに続き、欧州中央銀行(ECB)はこの日の理事会で0.25%の利上げを決定した。
英ポンドは対ドルで1.21%安の1.2783ドル。イングランド銀行(英中央銀行)は8月3日に金融政策委員会を開く。
暗号資産(仮想通貨)のビットコインは1.41%安の2万9159.00ドル。イーサリアムは1.04%安の1860.50ドル。
NY外為市場:[USD/J]
<債券> 国債利回りが上昇した。一連の米経済指標が堅調だったことで、FRBが過去1年半にわたり積極的な金融引き締めを進める中でも、景気後退(リセッション)入りを回避できるとの観測が高まっている。
この日の取引で2年債、7年債、10年債、30年債はいずれも2週間ぶりの高水準を付けた。
FRBは前日までの2日間の日程で開いたFOMCで0.25%ポイントの利上げを決定。これに続き、ECBはこの日の理事会で0.25%の利上げを決定した。
ECB理事会を受け、独連邦債利回りが低下するなどの動きが出て、米国債利回りは一時圧迫された。
28日に開催される日銀の金融政策決定会合に関する報道も注目された。日経新聞電子版は、日銀が長短金利操作(イールドカーブ・コントロール、YCC)の修正案を議論する方針だと報じた。長期金利操作の上限は0.5%で据え置くものの、市場動向に応じて超過を容認する案が浮上しているという。
アナリストはこの報道が流れた時間帯に取引されていたのが米市場のみだったことを踏まえ、米債利回り上昇の材料になったとみている。
ただ、米債券市場では好調だった米経済指標が大きく注目された。
米国の第2・四半期実質GDP速報値は年率換算で前期比2.4%増え、市場予想の1.8%増を上回った。6月の耐久財受注統計では設備投資の先行指標となる航空機を除く非国防資本財(コア資本財)受注が予想外に増加。7月22日までの1週間の新規失業保険申請件数(季節調整済み)は前週から7000件減少し、2月以来の低水準となった。
2年債利回りは午後の取引で4.953%と、2週間ぶりの高水準を更新。その後は10.6ベーシスポイント(bp)上昇の4.932%。
10年債利回りも4.024%と、2週間ぶり高水準を更新。その後は15.7bp上昇の4.008%。
2年債と10年債の利回り格差はマイナス91.90bpと、2週間ぶりの水準に縮小した。縮小は2営業日連続で、FRBの引き締めサイクルが終わりに近づいているとの見方を反映している。
財務省が実施した350億ドルの7年債入札は軟調。応札倍率は2.48倍と、前回入札の2.65倍を下回ったほか、平均の2.52倍にも届かなかった。
米金融・債券市場:[US/BJ]
<株式> 下落して取引を終えた。前日まで13営業日続伸し、1987年以来最長の連騰となっていたダウ工業株30種も、記録更新はならなかった。日銀が長期金利の上昇を容認するとの報道を受け、米金利が上昇したことが背景。
日経新聞電子版は、日銀が28日に開く金融政策決定会合で、長短金利操作(イールドカーブ・コントロール、YCC)の修正案を議論する方針と報じた。
これを受けて米10年債利回りは4%を超え、株式の投資妙味が薄れた。
FRBのパウエル議長は26日、FRBスタッフがもはや景気後退を予測していないと述べたが、追加利上げについては今後のデータを注視するとして可能性を排除しなかった。
米商務省が27日発表した第2・四半期の実質GDP速報値は年率換算で前期比2.4%増と、ロイターがまとめた市場予想の1.8%増を上回った。
アクション・エコノミクスのグローバルフィクストインカム担当マネジングディレクター、キム・ルパート氏は、FRBが前日に成長見通しをやや引き上げたこともあり、27日発表の経済指標が好調だったことを受けて市場がポジションを再評価したと指摘。追加利上げの可能性が再び織り込まれつつあると述べた。同氏は9月の利上げを予想している。
メタは4.4%高。前日発表した第2・四半期決算は広告収入の増加を背景に利益と売上高が市場予想を上回った。
米電子商取引(EC)大手イーベイは第3・四半期の売上高見通しが市場予想を下回ったことを嫌気して10.5%急落した。
半導体メーカーのエヌビディアとマイクロンはそれぞれ0.99%高と5.5%高。半導体製造装置のラム・リサーチが好調な四半期売上高見通しを示したことが追い風となった。ラムは9.3%高。
サウスウエスト航空は第2・四半期決算を嫌気して8.9%急落。一方、クルーズ運航会社ロイヤル・カリビアン・グループは通期の利益見通し引き上げを受けて8.7%高となった。
米国株式市場:[.NJP]
<金先物> 米長期金利の上昇と対ユーロでのドル上昇を受けて、3日ぶりに反落した。中心限月8月物の清算値(終値に相当)は前日比24.40ドル(1.24%)安の1オンス=1945.70ドル。
NY貴金属:[GOL/XJ]
<米原油先物> 市場予想を上回る米経済指標を受けて景気先行き懸念が後退したことで買いが優勢となり、反発した。米国産標準油種WTIの中心限月9月物は前日清算値(終値に相当)比1.31ドル(1.66%)高の1バレル=80.09ドルと、清算値ベースでは4月中旬以来約3カ月ぶりに80ドル台に乗せた。10月物は1.23ドル高の79.63ドル。
NYMEXエネルギー:[CR/USJ]
ドル/円 NY終値 139.44/139.47
始値 140.22
高値 141.31
安値 138.78
ユーロ/ドル NY終値 1.0973/1.0977
始値 1.1136
高値 1.1141
安値 1.0967
米東部時間
30年債(指標銘柄) 17時05分 92*27.00 4.0399%
前営業日終値 94*22.50 3.9280%
10年債(指標銘柄) 17時05分 94*30.50 4.0022%
前営業日終値 96*04.50 3.8510%
5年債(指標銘柄) 17時05分 99*16.25 4.2353%
前営業日終値 100*05.50 4.0870%
2年債(指標銘柄) 17時05分 99*21.38 4.9263%
前営業日終値 99*27.38 4.8270%
終値 前日比 %
ダウ工業株30種 35282.72 -237.40 -0.67
前営業日終値 35520.12
ナスダック総合 14050.11 -77.18 -0.55
前営業日終値 14127.28
S&P総合500種 4537.41 -29.34 -0.64
前営業日終値 4566.75
COMEX金 8月限 1945.7 ‐24.4
前営業日終値 1970.1
COMEX銀 9月限 2436.7 ‐60.3
前営業日終値 2497.0
北海ブレント 9月限 84.24 +1.32
前営業日終値 82.92
米WTI先物 9月限 80.09 +1.31
前営業日終値 78.78
CRB商品指数 280.1727 ‐0.6982
前営業日終値 280.8709
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