- 2023/08/01 掲載
豪中銀、2カ月連続で金利据え置き 追加引き締めの可能性も言及
[シドニー 1日 ロイター] - オーストラリア準備銀行(中央銀行)は1日、前月に続き政策金利のオフィシャルキャッシュレートを4.10%に据え置いた。これまでの利上げが需要鈍化につながっているとした。ただ、インフレ抑制に向け幾分の追加引き締めが必要になる可能性もあるとの見方は維持した。
経済予測は3カ月前からおおむね据え置き、インフレ率が2024年末までに3.25%前後に鈍化し、25年終盤までには2─3%の目標レンジに戻るとの見通しを示した。
市場では据え置き観測が高まっていたが、ロイター調査で36人中20人が利上げを予想するなどエコノミストの間では見方が分かれていた。
中銀の発表を受け、豪ドルは対米ドルで0.9%下落。先物市場は引き締めがほぼ終了した可能性があるとの見方で、年内あと1回の利上げの可能性を幾分織り込んでいる。
豪中銀は昨年5月以降、政策金利を計400ベーシスポイント(bp)引き上げており、これまでで最も積極的な引き締めを行ってきた。
ロウ総裁は「生活費高騰による圧力と金利上昇を受け、消費の伸びは全体として大幅に鈍化した」と指摘。利上げは需要抑制に働いており、今後もその効果が予想されるとし、きょうの据え置き決定は、これまでの利上げの影響と経済見通しを見極める追加の時間を確保するためだと改めて表明した。
第2・四半期の消費者物価指数(CPI)上昇率は予想以上に減速したが、家賃を含むサービス部門の価格は大きく上昇し、インフレの粘着性を示唆した。労働市場は減速予想に反して50年ぶり低水準近辺の失業率を維持。住宅価格は7月も上昇が続いた。
ジャナス・ヘンダーソンの金利ストラテジスト、エマ・ローソン氏は「政策金利の据え置きが長引くほど、景気の現状を示す指標は悪化し、インフレ抑制のための利上げがしにくくなる」とし「景気はピークを打ちつつあるが、政策は引き続き景気抑制型で来年初めに浅い景気後退が始まる可能性は排除できない」と述べた。
中銀も今回、来年の経済成長は1.75%に減速し、25年は平均で2%をやや上回ると予想した。
前回の声明では、雇用や景気と物価安定のバランスを取るための「道筋は狭い(narrow path)」としていたが、今回はこの文言が消えた。
キャピタル・エコノミクスのアジア太平洋部門責任者マーセル・ティーリアント氏は「中銀は今回も、さらに幾分の追加引き締めが必要になる可能性を指摘した。しかしインフレ面で新たなショックがなければ利上げは打ち止めとなる可能性が高い」と述べた。
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