- 2023/10/21 掲載
企業・自治体、対応に苦慮=NTT西子会社の情報流出
コールセンター業務などを請け負っていたNTT西日本の子会社が顧客から預かった約900万件の個人情報を流出させた問題を受け、委託した企業や自治体が対応に追われている。「住民からの電話が鳴りやまない」「お粗末すぎる」と、憤りを隠せない様子だ。子会社は今後、委託元への補償や顧客離れで業績へのダメージが避けられそうにない。
「セキュリティーの高いNTT西グループだから契約した」。ある委託元の担当者はこう不満を漏らしており、親会社のNTT西もブランド力の低下に見舞われる恐れがある。NTT西の森林正彰社長は20日、大阪市内で取材に応じ、「私にも責任はある」と謝罪。自身を含め、社内処分を検討する考えを示した。
一方、コールセンター業務を委託していた山田養蜂場(岡山県鏡野町)は「約400万件の漏えいと報告を受けた」と公表。このほか、森永乳業やWOWOWなどの企業に加え、特定健康診査の電話案内を委託していた岐阜県国民健康保険団体連合会や、福岡県などの自治体も数多く含まれている。流出した59社・団体の約900万件のうち、約100万件はどの契約先の情報か判明しておらず、企業や自治体の数が増える可能性もある。
情報漏えい事案に是正勧告などの権限を持つ個人情報保護委員会は、今回の流出について「調査対象かどうかも含め、個別の案件には回答できない」とコメントを避けた。ただ、個人情報保護に詳しい弁護士は「法人に行政処分が下される可能性が高く、刑事処分も情報を流出させた元契約社員にとどまらない可能性がある」と指摘する。2014年には、約3500万件の個人情報を流出させたベネッセコーポレーション(岡山市)が経済産業省から是正勧告を受けた例がある。
【時事通信社】
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