• 2023/10/30 掲載

アングル:日本株の裁定買い残が急減 「底打ち接近」の思惑も

ロイター

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Noriyuki Hirata

[東京 30日 ロイター] - 日米の金利高や中東情勢の緊迫化といった投資環境の悪化を背景に日本株は下値が見えにくい展開になっている。日経平均は今月4日につけた安値が目前に迫る。こうした中、先物と現物の裁定取引が解消されずに残る「裁定買い残」が8カ月ぶり低水準に急減していることに着目し、需給面で底入れを期待する参加者も出てきた。

日経平均は、10月入り後30日までに3.6%下落。9月29日に1兆2000億円あった裁定買い残は、20日には5800億円まで減少した。フィリップ証券の増沢丈彦・株式部トレーディング・ヘッドは「相場の下落に裁定解消売りが大きく影響していたことがうかがえる」と指摘する。

裁定取引は、値動きの相関が高い商品間の価格の「歪み」を捉えた取引。割高な方を売ると同時に割安な方を買い、価格差が適正に戻った段階で反対売買して利益を得る。「裁定解消売り」は、売っていた先物を買い戻すのと同時に、買っていた現物を売却する取引で、相場の下落要因のひとつとされる。

海外勢が主導した春先の株高局面では、裁定買い残が膨らんだ。4月に9500億円程度だったのが、6月の株価ピーク時には1兆5000億円に高まった。この間、日経平均は18%上昇した。

その後、8月半ばにかけて日経平均が6%調整した際に裁定買い残は、7000億円前後に減少。それが9月前半に日経平均が7%上昇したバリュー株相場の間には再び増え続け、9月半ばには1兆5000億円に膨らんだ。

楽天証券の窪田真之チーフストラテジストは、足元の裁定買い残の縮小について「弱気が行き過ぎている可能性を示唆している」とみている。海外短期筋の日本株に対するポジションが中立になってきていることがうかがえるとし「材料が出てきたら、それに乗る余地が生じてきている。上にも下にもボラティリティが高まり得る」という。

米株安などの材料次第では「さらに裁定買い残が減少したり、裁定売り残が拡大する余地はある」と、みずほ証券の三浦豊エクイティ調査部シニアテクニカルアナリストは話すが、一方、足元の状況は新規の買い残が入りやすくなってきたともみている。

過去の推移から、現在の水準はボトムラインとみることもできそうだと、フィリップ証券の増沢氏は指摘。「急落に加担するような買い残が少なくなり、株価は底堅くなるのではないか」との見方を示している。

(平田紀之 編集:橋本浩)

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