- 2023/11/17 掲載
中小交渉前にも政労使会議を、「政労会見」再開もスタンバイ=芳野連合会長
[東京 17日 ロイター] - 日本労働組合総連合会(連合)の芳野友子会長は17日、ロイターとのインタビューで、2024年の春季生活闘争(春闘)は「労務費を含めた価格転嫁がどれだけ進むかがポイント」になると指摘、中小企業の賃上げ交渉が始まるタイミングで再び「政労使会議」が開催されるのが望ましいとの考えを示した。首相と連合会長が労働政策で意見交換する「政労会見」の再開にも前向きで「スタンバイ」態勢だとも述べた。
政府は15日、経済界や労働団体の代表者と意見交換する「政労使会議」を開き、公正取引委員会が労務費の適切な転嫁のための価格転嫁に関する行動指針を説明した。
芳野会長は、全体の底上げ、底支えに向けて中小企業や非正規雇用労働者の賃上げが重要となる中、政労使会議がこのタイミングで開催されたことは「非常に意義深かった」とし、中小企業の交渉が始まるタイミングで再び会議を行うことができれば「より効果的ではないか」と語った。
芳野会長は今年2月、岸田首相と面談した際に「政労会見」の再開を提案。事務方で日程を調整しているところだと語った。連合によると、開催されれば2009年6月の麻生政権以来14年ぶりとなる。芳野会長は、産業別組合のトップらが政府に実情を話す機会が得られれば、政労使会議とは異なる意見交換が行えるとの考えを示した。
連合は、2024年春闘の基本構想で、ベースアップ(ベア)と定期昇給(定昇)を合わせ5%以上の賃上げを要求する方針を示している。今年の春闘では賃上げ要求を5%程度としていたが、来年は5%「以上」とし、表現を強めた。
芳野会長は「24年の方が持続的な賃上げを勝ち取っていくために非常に大きい、重きを置いていることになる」と指摘。24年は経済・賃金・物価が安定的に上昇する社会に転換する正念場であり、その最大の鍵は「継続的な賃上げを実現することだ」と語った。
連合が7月に発表した今年の春闘の最終集計結果では、ベアと定昇を合わせた賃上げ率は平均で3.58%だった。1993年(3.90%)以来30年ぶりの高水準となったが、物価変動の影響を加味した実質賃金は前年同月比マイナスが続いている。
芳野会長は24年春闘で23年を上回る結果が出るということに期待を示しつつ、「24年で終わらずに25年、26年と持続的に賃上げし、世界に見劣りしない賃金水準にいち早く持っていくことが大事だ」と語った。
*写真を追加しました。
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