- 2025/05/21 掲載
米FRB高官、関税が物価押し上げると指摘 ホワイトハウスは否定
アトランタ地区連銀のボスティック総裁はフロリダ州で開催されたアトランタ連銀主催の会議で「関税政策の影響の多くが現時点では数字に反映されていないという話を聞く」と言及。これまで、前倒し購入や在庫の積み増しなどの対策が取られてきたとした上で、「こうした戦略が限界に近づきつつあることも耳にする」と述べた。
関税発動を見据えたこうした戦略が尽きたのであれば、「価格に何らかの変化を目にすることになり、消費者がそれにどう反応するかが分かるだろう」と述べた。
ボスティック氏は「われわれは何らかの決定的なことをする前に経済の行方を見極めるべきだ」と指摘。同氏は現在、年内は1回の0.25%ポイント利下げにとどまり、トランプ政権の政策の影響が明らかになるまで数カ月は様子見になると予測している。
一方、大統領経済諮問委員会(CEA)のスティーブン・ミラン委員長はブルームバーグ・テレビジョンのインタビューで、関税が大幅なインフレをもたらすとの見方を否定。「政権発足初日から関税を導入してきた」ものの、最近の消費者物価指数は予想を下回っており、「インフレに実質的な影響は見られていない」と述べた。
しかし、FRB高官やアナリストは影響がまだ経済に浸透していないだけだと考えている。
<インフレ期待>
FRB高官にとって見極め期間は長くなるかもしれない。関税問題やその他の政策が一段落し、その後影響を測るのに十分な時間が経過するまで、景気の先行きを予想するのは難しそうだという。
セントルイス地区連銀のムサレム総裁はミネソタ経済クラブへのコメントで、FRBは何よりもまずインフレ期待の上昇を防ぐ必要があると指摘。重要になるのは物価上昇が一時的なのか持続的なのかを判断することになるとした。
関税計画は縮小されたかもしれないが、それでも「短期的な経済見通しに大きな影響を与えそうだ」とムサレム氏。「輸入最終財価格への直接的な一過性の影響、国内で生産される財やサービスの価格への間接的な影響、そしておそらくインフレへの二次的効果」があるためという。
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