- 2025/05/22 掲載
英系運用会社オービス、買取請求を検討 ツルハとウエルシア統合可決なら
[東京 22日 ロイター] - ツルハホールディングスが26日の株主総会で諮るウエルシアホールディングスとの経営統合議案について、可決された場合はツルハ株主の英系運用会社オービス・インベストメンツが買取請求権の行使を検討することが分かった。統合会社は最終的にイオンが連結子会社化する計画で、オービスは一連の買収手続きの中でツルハの価値が正当に反映されていないと主張し、統合に反対してきた。
オービスの日本株共同責任者ブレット・モーシャル氏が15日、ロイターとのインタビューで明らかにした。株主総会で経営統合案を否決に持ち込めた場合、ツルハは潜在的な買収候補者が対抗提案を行う機会を設けるべきと説明。一方、可決された場合は「株主の権利を行使して、買取請求も含めて検討もする」と述べた。買取請求を検討することは、ツルハの取締役会にも書簡で通知したという。
株式の買取請求は、伊藤忠商事が2020年にファミリーマートを完全子会社化した際、株式公開買い付け(TOB)に応募しなかった一部株主が、強制買い取りの価格1株2300円が安すぎるとして権利を行使した。裁判所は、適正価格は300円高いとの判断を下した。裁判所が買収価格を決定するのは異例で、少数株主保護の前例になると注目を集めた。
ツルハ株10.29%を保有するオービス・インベストメンツは、25年余りにわたってツルハに投資しており、ドラッグストアの業界再編は必要との立場を取る。しかし、24年にイオンが香港の投資ファンド、オアシス・マネジメントからツルハ株を1株1万5500円で取得したことから、モーシャル氏は「今回は支配権プレミアムが付き、それを上回る価格であるべき」と語った。
モーシャル氏は、24年に1万7500円でツルハが買収提案を受けたとの報道もあったとし、「今回の統合案の方が良いと決めたプロセスや価格、経営統合後にイオンの上場子会社になるという点を含めて反対している」と述べた。
経営統合が発表されたウエルシアの4月11日時点の株価に基づくと、株式交換比率はツルハ1株あたり1万0785円に相当するという。また、イオンは両社の経営統合後に1株1万1400円でTOBを実施する。
ツルハ株は22日、イオンのTOB価格を上回る前営業日比240円高の1万1475円で引けた。
ツルハはロイターの取材に対し、1株1万7500円で買収提案があったかどうかコメントを控えた。「従来から様々な案を検討してきたところ、今回の経営統合が、当社の成長ひいては株主の利益に最も寄与するものと判断した」とした。
ツルハが5月26日に開く株主総会で、経営統合案の可決には株主の3分の2の賛成が必要となる。ツルハとウエルシアの経営統合案には米議決権行使助言会社2社が反対を推奨。モーシャル氏によると、他の投資家からも総会での反対に賛同を得ているという。
ツルハは株式交換比率について、独立した第三者算定機関から取得した算定結果を参考に、デューデリジェンスの結果や財務状況・将来の見通し、株価動向等を総合的に考慮したうえで決めたとし「株主利益に資するもの」と反論。TOB価格についても「イオンに対して価格の引き上げを繰り返し求め、この価格となった」と説明した。
その上でツルハは、「経営統合により大きなシナジーが生じると見込んでおり、株主がTOB後もツルハ株式を引き続き所有するという選択にも十分合理性があると考えている」とし、TOBに応募するかは株主の判断に委ねていると答えた。
(清水律子 編集:久保信博)
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